★あさぎり通信vol.45 相続関連の民法改正

 おはようございます。
 あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

 地獄の様な暑い日が続きますが、
今年の天気は、先月の大豪雨や台風の発生、そして猛暑続きと異常ですね!!
年々酷くなっているような気がしますが、やはり地球温暖化の影響なのでしょうか?
まあとにかく、体調管理には十分気を付け、この暑さを乗り切りましょう。

 さて、もうすぐお盆ですね。
お盆になると実家に家族が集まり色々な話をすると思います。
普段あまり話をすることがない相続などの話題も出るかもしれませんね。
 逆に、相続の話題が出なければ、本日のテ-マでも参考にして頂き、
是非、皆さんで相続のお話をして頂きたいと思います。
 「相続」が「争続」になる大きな原因は、コミュニケ-ション不足が大きいと思います。
相続が発生して慌てるのではなく、普段からのお話がとても大事なのです!

さあ、本日のテ-マですが、
最近続々と民法改正(H30.7.8法案可決)された相続関連の内容についてまとめてみました。
 

配偶者を優遇する改正

 
〇 配偶者の居住の保護(H32年7月までに施行予定)

  配偶者が相続開始時に居住している被相続人(亡くなった人)所有の建物に住み続けることが出来る居住権の創設
   尚、居住権の評価額は、現行の評価(所有権)に比べてかなり低くなる様です。
   具体的には、平均余命等を勘案して評価されるようです。
 
 
〇 配婚姻期間20年以上の夫婦の特例(H32年7月までに施行予定)

  婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、配偶者が居住用の不動産を生前贈与したときは、
 その不動産を原則、遺産分割の計算対象外(特別受益としない)となる。
   今までは、例えば、「自宅と僅かな預貯金」をお持ちの方が亡くなられた時に、
   遺産分割を巡って揉めるケ-スが多くありました。
   今後は、配偶者は住む所を確保し、更に、預貯金などの他の遺産の取り分を増やす事が出来ます。
   又、配偶者は「居住権」を登記する事により、所有権を取得した相続人が勝手に売買する事を防げます!
 
 

その他の改正

 
〇 特別寄与料制度(H31年7月までに施行予定)

  相続人以外の者が、無償で介護や看病に貢献し、
 被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした者(特別寄与者)は、
 相続人に対して寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払を請求することが出来る。
  息子の妻が義父母をの介護をしたようなケ-スが想定されます。
  苦労が報われますね!!
 
 
〇 遺産分割前の預金の一部引出(H31年7月までに施行予定)

  遺産分割協議の成立前でも被相続人の預貯金の1/3の内、法定相続分までは預金の引き出しが出来る。
   葬儀代や生活費に充当出来ますね。
   ただ、銀行が、あっさりウンと言うのでしょうかね!!
 
 
〇 自筆遺言書についての改正(H32年7月までに施行予定)

  (1)自筆遺言書を法務局で保管してもらう事が出来るようになる。
  (2)(1)の法務局で保管しもらえば「検認」が不要になる。
  (3)自筆遺言書の内、財産目録についてはパソコンの作成が可能となる。
 
 
〇 遺留分請求について(H31年7月までに施行予定)

  贈与でもらった財産の内、遺留分の計算上含める金額は下記の通りとなる。
   相続人に対する贈与は、相続開始前10年間
   相続人以外に対する贈与は、相続開始前1年間
  また、遺留分侵害額の請求は、当初から「金銭」で出来るようになる。
 

編集後記

 
 相続に関する民法改正が本当に沢山出来ましたね!
何十年も前にも出来た法律なので、時代に即した当たり前の改正なのかもしれません。

 ただ、個人的に情けないと思うのが、配偶者に関する改正です。
 
 この改正の背景にあるのは、親子の相続分を巡る争いの増加なんだと思います。
子供が親の財産を当てにし、老いた母親を訴え骨肉の争いになり、
住む所も奪われた母親が路頭に迷うケ-スを防止する為なんでしょう!
 何とも情けない限りです!
勿論、色々なご家庭の事情があるとは思いますが、育ててくれた親を訴えますかね!
日本人の倫理観は何処に行ったんでしょうか!?
法律の勉強の前に、道徳の勉強をして欲しいものです!

 最後に、冒頭でも書きましたが、相続は普段からのコミュニケ-ションが大切です。
普段忙しい方々も、せめてお盆の時期だけでもゆっくりお話をして、
やがて来る相続が円満になる事を心から願うばかりです。