★あさぎり通信vol.78 減価償却の誤り事例

あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

今年も所得税の確定申告がスタートしました。

弊所では、すでに確定申告業務に着手し忙しくしています。

さて、今回は減価償却についてです。

無料相談会に来られるお客様、弊所の新規のお客様で誤りが多いテーマです。

税理士にお願いしているから、大丈夫だと思っている方も多いと思いますが、

意外と間違っているケースがあります。

減価償却について

減価償却とは、資産を取得した時に全額必要経費に算入するのではなく、

資産を使用可能期間に分割して必要経費に計上していく方法です。

この方法は、法令によって定められています。

尚、法人と個人では下記のような違いがありますので注意が必要です。

法人の場合

〇償却は任意償却

(利益調整の為、償却限度額以下であれば金額の調整が可能です。)

〇償却方法→原則、定率法

(建物、建物附属設備、構築物は定額法)

個人の場合

償却は強制償却

(赤字でも必ず計上しないといけません。)

〇償却方法→原則、定額法

※個人の場合、間違った減価償却を採用して、

正しい減価償却費よりも少ない償却費で計算してしまっていることがあります。

すると差引く経費が少ないので納税者の所得が高くなり通常の所得税より多くの所得税を支払うことになります。

例えば、建物を1億円で取得した場合、軽量鉄骨で27年で減価償却費を計算する場合において、

誤って鉄骨鉄筋の47年で減価償却費を計算した場合の差額は下記のとおりです。

1.正しい償却費→27年  年間 償却費 380万円

2.誤った償却費→47年  年間 償却費 220万円

1と2の差額 年間 160万円も償却費が少なくなります。

この差額については、後で計上することが出来なくなります。

ただし、法人なら限度額以内の計上なので後で計上することが出来ます。

減価償却の具体的な間違い例

下記のような減価償却の間違い例があります。

1.耐用年数を間違えている。

・建物が鉄骨の耐用年数27年なのに鉄筋コンクリート47年で計算している。

2.相続が発生した場合、相続人の取得価額が被相続人の未償却残高になっている。

3.相続が発生した場合、相続人の償却方法について、被相続人の償却方法を引き継いでいる。

被相続人の償却方法は引継ぎができません。

4.除却した資産が、減価償却資産として計上されている。

5.新築アパートの場合、建物附属設備

耐用年数の長い建物に含めて計算している。、構築物と分けて計上しないといけないが

耐用年数の長い建物に含めて計算している。

6.修繕費で経費にできる支出について、減価償却資産として計上している。

大規模修繕などは、経費に計上できる場合が多いです。

7.建物を購入した場合、仲介手数料を取得価額に含めずに必要経費に計上している。

上記の他にも間違えやすいケースがあります。

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?

会計事務所等は、減価償却のシステムを繰越をしながら毎年計算を行っています。

この為、初期登録を間違うとそのまま間違ったままの状況が続くことが多いです。

一度、減価償却明細書を見直してみてください。