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★あさぎり通信vol.67 消費税の増税の準備はできていますか?

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

大分、涼しくなりましたね!
  
あれだけ暑かった夏が何だ懐かしいですね!
  
9月になり、来月10月からは、遂に消費税が10%になります。
  
それに関連して、最近、消費税についてよく質問されます。
  
一番多い質問は、「10月から消費税は本当に上がるのか?」
  
ですが、答えはYESで消費税は10%に上がります。
  
今まで2回延期になっているので、今回もどうせ延期になると思っている方が多いのだと思います。
  
因みに、2回延期していますが、延期の発表は半年以上前です。
  
今回、この時点で延期になる事は無いと思います。
  
10月からの消費税の増税の準備がまだの方はお急ぎ下さい。
  

制 度 の 概 要

消費税の増税(10%)に伴い、現場で問題になるのは、
  
どの時点からが増税(10%)になるかだと思います。
  
具体的には、10%になるボ-ダ-ラインの日(R1.10.1)が
  
〇 契約の時点
  
なのか、
  
〇 引き渡しや役務(業務)の提供が完了した時点
  
なのかと言う事でしょう。
  
消費税が課税される時期は、原則、後者の引き渡しや役務(業務)の提供の完了した時点です。
  
「契約を10月までにしていれば8%でいいんでしょ?」
  
という質問が本当に多いですが、一部例外を除き、
  
引き渡し等が10月以降であれば10%になるので気を付けて下さい。
  

 実 務 上 の 留 意 点

それでは、実際に実務で注意すべき事を列挙しておきますので参考にしてください。
  
特に10月をまたぐ取引が大変だと思います。
  
〇 物販で売主が9/30に出荷した商品は、買主が10月以降に納品しても買主の税率は売主の税率に併せ8%となる。
  
〇 保守契約や家賃の年払い等で1年分の代金の授受をしている場合には、
  
 原則10月以降の消費税の追加精算が必要となる。
  
R元.10.1までに開始したリースは、旧税率(8%)となる。
  
〇 JRや飛行機の運賃や遊園地等の入場券でR元.10.1までに支払っているものは、
  
 利用が10月以降でも旧税率(8%)となる。
  
  

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?
  
10%に落ち着くまでは軽減税率も含めて消費税の処理が大変だと思いますので気を付けましょう!
  
話は変わりますが、先月、私の母が亡くなりました。
  
遺品を整理していると「お薬手帳」があり、中を見ると毎月1回(多いときは2.3回)
  
家の近くのクリニックに行っていました。
  
慣れ親しんだ所だった様ですが、病気の異変に気付かなかったのかと不信感と憤りを感じています。
  
そのクリニックでの診断は、ただの腹痛とか、
  
筋肉痛と言われ続けたと言っていたので私もあまり気にしていませんでした。
  
今更、言っても後の祭りですが、お伝えしたいのは「セカンドオピニオン」の活用です。
  
医者や法律家(弁護士・税理士等)も思い込みや、
  
知識の欠如等の理由によりミスジャッジをする事が絶対にあると思います。
  
命や経営やお金に関わる事なので何か少しでも不審に思ったり、
  
周りでその様な人が居たら「セカンドオピニオン、サードオピニオン」を遠慮せず活用しましょう。
   
私自身も、専門家として謙虚に自問自答し頑張ろうと思います。

★あさぎり通信vol.66 消費税増税に伴う経理処理

あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

梅雨の時期が終わり、例年のごとく暑い日が続きますね。

今年は、カープが面白いですね。

月単位で強い月、弱い月がかわります。

歴史的な連勝をしたかと思えば、連敗もします。

カープは、強いのか?弱いのか?

連勝できるのだから、実力はあるでしょう。

連敗をする時は、結果が伴わないだけ。運が悪いだけ。

運を味方につけることは、すごく大切なことだと思います。

経営も、実力があっても結果が伴わないことがあります。

運が悪い方もいれば、すごく良い方もいます。

私は、運というものは、日ごろの行いから身につくものだと思っています。

まじめにコツコツ、日々の生活に感謝して生きていると運が集まってくるような気がします。

さて、今回のテーマは、消費税増税に伴い気をつけるべき経理処理についてです。

増税後、複雑になる経理処理のため、今から事前に準備しましょう。

制 度 の 概 要

令和元年10月から消費税が10%になると共に軽減税率が導入されます。

軽減税率とは、飲食料品(アルコール類は除く)、定期購読の新聞などについては、

消費税率を8%に据え置く制度です。

経理処理する際に気をつけるべき主な取引について以下に記載します。

増税が迫ってきたので、早めに準備を進めていく必要があります。

実 務 上 の 留 意 点

■ 資産の引き渡しやサービスの場合

9月中に契約しても資産の引き渡しやサービスの提供が10月以降の場合には、消費税は10%になります。

9月中に10月以降の商品販売、サービスなどの契約や予約の注文を受ける際には、注意が必要です。

■下記のような取引は、R1/10以降の支払であっても、消費税率は8%で処理することになります

主な例示

・電気、水道、通信費の場合

R1/10/31までに支払が確定するもの

・請負工事等の場合

H31/3/31までの契約で引き渡しがR1/10以降の取引

・リースの場合

R1/9以前のリース取引でR1/10以降継続的に支払うもの(※)

(※)一定の要件がありますので注意が必要です。

・クレジット払いの場合

クレジット払いで、支払時に経理をしている場合には、

10月以降の支払いで9月以前の取引が含まれています。

■軽減税率の対象かどうか

・店内飲食又はテイクアウトの判断基準

例えば、スポーツジムでドリンクを販売する場合、室内での飲食なら10%、持ち帰りなら8%になります。

これらは、販売時点での判断になります

お客様のお持ち帰りの意思を確認して8%で販売したが、

その後、気がかわり店内で飲食しても8%のままで問題ありません。

・食料品にも食料品以外(飾りなど)にも当てはまる材料の場合

例えば、彫刻の氷は8%か10%という問題があります。

この場合、事業者が食べるものとして販売すると8%、飾りとして販売すると10%になります。

■売上の返品 値引の場合

R1/9以前に売上について、返品、値引があった場合には、旧税率で処理することになります。

■日付をまたぐ場合

事業者の取り扱いにより、消費税の対応が変わります。

深夜営業の飲食店等で継続して翌日の売上を当日に計上しる場合には、

R1/10/1の午前の売上は8%の売上にすることが出来ます。

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?

消費税増税に向けて、準備は進んでおられるでしょうか。

余談ですが、消費税増税に合わせて、

消費者がキャッシュレスで中小企業者に支払いをすると国からポイントが還元される仕組みが導入されます。

中小企業者は、決済手数料について一部国からの補助金が受けられます。

消費者がこのポイント還元を希望する場合には、

相手の中小企業者が、この仕組みについての加盟店登録を行っている必要があります。

経済産業局のホームページに各地の加盟店登録された事業者のリストがアップされています。

これをみるとまだまだ、手続きが完了している事業者は少ない様です。

手続きには時間がかかるため、早めに手続きをすることをお勧めします。

★あさぎり通信vol.65 代表者個人名義のカードにより支払われた飲食...

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

ようやく梅雨が明けましたね!

毎年、全国各地で豪雨の被害が出ていますが、

天災には勝てないので早期の避難、対策をするしかなさそうです。

自分の身は自分で守りましょう。

さて、以前にも書きましたが、

税務署が新年度(7月から)になり秋から年末にかけて税務調査が活発になってきます。

私のお客様も7月早々から税務調査になりました。

と言う事で今回の内容が税務調査のお役に立てれば幸いです。

概 要

先日、驚きの裁決事例が公表されました。

内容は、「代表者個人名義のカードで支払った飲食代金(交際費)に対して、

税務署が賦課決定した重加算税を取り消す」というものです。

個人のカ-ドを利用しただけで何で重加算税になるの!というのが驚きです!

結果的に、重加算税は取り消されて納税者が勝っていますが、

当初、税務署側は、「重加算税」を賦課決定(注)しています。

(注)税務署が、所得や税額を一方的に決める事(納税者は同意していない)

まず、この事件の前提として、税務調査の過程で、

納税者側は税務署からの指摘により、

交際費でない事は一応認めています。

認めてはいるので修正申告書を提出しています。

ここまではよくある話だし、納税者が納得しているのならば特に問題はないと思います。

問題なのは、その後です。

何と、税務署は次の2点の理由から、

「仮想隠ぺい」があったとして加算税の処分を重加算税として賦課決定しているんです。

(1) クレジットカ-ドが代表取締役の個人名義のクレジットカ-ドである事

(2)代表取締役が飲食等代金は業務に関連するものではなく、

個人で飲食等した代金であると申述していること

(1)の理由だけで、重加算税の要件である「仮装・隠ぺい」に該当する訳がありません。

問題は(2)の申述の部分です。

実は、裁決事例を全部読んでみると、この納税者は、一筆書いてるんですね!!

税務署の圧力があったのか、面倒になって書いたのかは分かりませんが書面に署名しているんですね!

一筆重加(いっぴつじゅうか)」なんて俗語もあるぐらいですからね!

因みに、今回は「質疑応答記録書」という書類に署名、押印しているようです。

税務署は、これを盾に、重加算税を賦課決定したという経緯でしょう!

実 務 上 の 対 応

個人的な意見としては、よく重加算税が取り消されたな-と感心しています。

一般的に調書に署名・押印すれば自分で認めた事になります!

今回の件に限った事ではないですが、税務調査の過程で、

この手の調書等の署名・押印を求められる事があります。

まずは原則、この様な書類への署名・押印をしない事です。

調書への署名・押印の法的な義務は一切ありません。

税務署の言われるがままに署名しなくても大丈夫です。

今回の事件でも「個人名義のクレジットカードの利用」というだけで「重加算税」にするのは絶対無理です。

無理だからこそ調書を要求しているのではないでしょうか。

税務には「実質所得者課税の原則」というものがあります。

これは、名義は関係なく、実質(真)の所得者(利益を得る人)に課税するという事です。

だから名義が違っていても経費に計上する事は出来ます。

多くの方が、個人名義のカ-ドを使用するのは、

法人カ-ドだとマイル(ポイント)貯まらないから、というのが本音ではないでしょうか!

気持ちは分かりますが、個人名義のカ-ドを使用すれば、税務署から目を付けられ易くなるのも事実です。

それでも個人名義のカ-ドを使用するという方は、エビデンスをキッチリするしかないでしょうね!

最低限、誰と行ったのかは当然で、更に、内容の記載までないと対抗出来ないかもしれませんね!

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?

税務調査は、「性悪説」で実施されると思った方がいいでしょう!

税務調査官は疑うのが仕事です。

繰り返しになりますが、今日の内容でお伝えしたかった事は3点です。

〇 形式的に疑われる事は事前(日頃から)に解消しておく

〇 税務調査の過程で調書等の署名はしない

〇 安易な修正申告はしない

という事を覚えておいて下さい。

★あさぎり通信vol.64 法人税対策 所得拡大促進税制

あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

今年のカープは6月に入り、急に負けが込んできましたね。

6月の成績は、6勝15敗2引分

現在は、ついに11連敗で4位になっています。

なぜ、5月はあんなに強かったのに、こんなに変わるのでしょう。

実力があるのにたまたま勝てないのか?

実力がないのにたまたま勝っていたのか?

ちょっと話が変わりますが、

サッカーの世界では、「オフ・ザ・ピッチ」という言葉があります。

試合や練習以外の行動の事です。

普段の日常生活(挨拶、整理整頓や清掃等)で出来ることしか本番の試合ではできない。

試合中での緊張、失敗、相手の情報整理など、

日常生活が影響し本番の試合にも出てしまうということです。

我々にとってもすごく大切な考え方だと思います。

カープの選手が、「オフ・ザ・ピッチ」ができていないのでしょか?

さて、今回のテーマは、所得拡大促進税制についてです。

近年、人手不足や物価の上昇などにより給料が増加している会社も多いのではないでしょうか。

今回は、そんな会社の方々に読んで頂きたい内容です。

制 度 の 概 要

所得拡大促進税制とは、

前年に比べて給料等が増加した場合には、

法人税額から一定額を控除することができる制度です。

制度の内容

下記に該当した場合には、

法人税額から下記の金額を控除することができます。

また、【上乗せ】の要件に該当することになった場合には

さらに10%多く控除することが出来ます。

この制度は平成30年4月~令和3年3月までに開始される事業年度が対象となっています。

【通常】

継続雇用者給与等(※1)が前年度比で1.5%増加した場合

給与総額(※2)の前年度からの増加額の15%を法人税額から控除できる制度

【上乗せ】
継続雇用者給与等が前年度比で2.5%増加+一定の要件(注)に該当した場合

給与総額の前年度からの増加額の25%を法人税額から控除できる制度

(注)一定の要件とは
教育訓練費が前年度比で10%増加していること
又は
経営力向上計画の認定を受けており、その取り組みが確実に行われていること
尚、この認定は、必ず決算期終了前に手続きをしないといけません。

上記の【通常】、【上乗せ】いずれにおいても法人税額の20%が限度額となっています。

用語の説明
※1 継続雇用者とは、前年度の期首から決算期末まで給与等の支給を受けた者で一定のもの
※2 給与総額とは、継続雇用者に限定されず、全従業員に支払った給与等(役員報酬は除く)

具体例
下記の設例の場合には、【通常】【上乗せ】において、次の金額が法人税額から控除されて納税額になります。

控除前の法人税額1,000万円
給与等の増加額 500万円(前期比較で500万円増加)

【通常】
算式
500万円×15%=75万円
<1,000万円×20%=200万円
納税額:1,000万円-75万円=925万円

【上乗せ】
算式
500万円×25%=125万円
<1,000万円×20%=200万円
納税額:1,000万円-125万円=875万円

※上乗せの要件に該当した場合には、
今回のケースでは、法人税額から50万(125万-75万)多く控除することができます。

編 集 後 記

今回の話はいかがでしたか?

法人税の税額控除の話なので、少し難しかったかもしれません。

税理士にお願いをしているから大丈夫と思われている方も多いかもしれませんが、

税理士が申告書を作成していても、税額控除を受けていない場合があるようです。

給料が増加している場合には、法人税額控除を受けたかどうか確認してみましょう。

★あさぎり通信vol.63  税務調査は拒否できるのか?

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。
  
今年はこのまま梅雨入りせず、

夏が来るのかと思っていたら、

つい先日梅雨入りしましたね!
  
思い出すのは去年の豪雨災害の事です。
  
今年は平穏である事を祈るばかりです。
  
カ-プ打線も湿っぽいですが、
  
早く梅雨明けして欲しいですね!
  
さて、7月から税務署は新年度の始まりです。 
  
新年度の始まりと共に新たに税務調査が開始される時期です。
  
来るべき税務調査に備えて、本日の内容は税務調査の内容です。
  
  
  
  

税務調査の種類

本題に入る前に税務調査には、
   

内容や目的によって大きく分けると
  

「強制調査」と「任意調査」の2つに区分されます。
  
  
(強制調査)
  
国税局査察部(マルサ)が、令状を持ってきます。
  
国税犯則取締法に基づき、否応なしに調査が実施されます
  
断る事は出来ません!
  
断れば逮捕されます。
  
その様な意味合いから「強制調査」と呼ばれます。
  
  
(任意調査)
  
こちらが、一般的に行わる税務調査です。
  
なんだ「任意」なら拒否すればいいじゃん!と思いますよね?
  
しかし、拒否する事は現実的には難しいのです。
  
断ると「強制調査」の様に逮捕はされませんが、何と!罰則があるのです。
  
この罰則の根拠になるのが「質問検査権」という法律です。
  
この法律の詳細は割愛しますが、
  

簡単に言うと、
  

税務署の調査官は、調査等を通じて色々と聞き取り等をする事が出来る。
  
一方、納税者は、それに対して真摯に答えないといけない。
  
答えない場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金!
  
と言う事で逮捕はされないけど罰則があるので断るのは事実上無理だという事です!
  
  

 

税 務 調 査 の 注 意 事 項

事実上、調査を断れないという事はご理解出来たと思います。
  
では具体的な税務調査の対応ですが、
  

多くの方は、税理士に依頼していると思うので、
  

日程調整等も含めて税理士に任せておけばいいと思います。
  
通常、調査は2.3日ですが、問題は、この間に税理士が立ち合えない時です。
  
税理士が立ち合えない時には、当然、社長や経理等の方が対応する事になります。
  
この時、調査官の言われる事に全て従う必要はありません!
  
まずは焦らない、そして、何か違和感を感じたら即答せず、
  

「税理士に確認してからお答えします」と言いましょう。
  
本日は、具体的な例は紙面上長くなるので後日説明しますが、
  

一例として、パソコンの中身やメールを見たいと言われる事です。
  
最近、よくある話なのですが、

これについては、積極的に見せる必要はありません。
  
必要な部分(見たいメール)をプリントアウトすればいいのです!
  
この他にも色々とありますが、とにかく一旦保留にしましょう!
  
  

 

 編 集 後 記

税務調査は気持ちの良いものではありませんが断る事は出来ないので諦めて対応しましょう。
  
ただ、決っして横柄な態度はとらないでくださいね。
  
最後に、話が全く変わりますが、
  
医療保険等の短期払いの保険料が税制改正により損金計上に規制がかかりそうだというお話です。
  
この件について、6月24日の日本経済新聞(電子版)に、最新情報が公表されました。
  
全額損金に算入出来る保険料を年間30万円(1契約)までとする、という内容です。
  
実施は10月からの予定の様です。
  
おそらく、この改正内容で確定なので興味のある方はお急ぎください。

★あさぎり通信vol.62  少数株主の権利

制 度 の 概 要

最近、弁護士が少数株主の味方になり、
  
少数株主の権利を行使して会社に株式を高く買い取るように請求したり、
  
「物を言う株主」として株式総会で発言をしたりする方がいる様です。
  
  
逆に弁護士が大株主の味方になり
  
  
少数株主の権利がなくなるようにアドバイスを行う方もいる様です。
  
  
この様な行為は、法律上、正しいことで何も問題がないのです。
  
  
小数株主、大株主双方にとって、
  
商法の正しい法律を身に付けることにより自分を守ることが出来るのです。
  
  

今回は、その中でも少数株主の権利について触れたいと思います。
  
  
  

実 務 上 の 留 意 点

少数株主の権利として下記のようなものがあります。

  
  
(1)単独株主権(1株以上保有している株主)
  
■取締役の違法行為差止請求権
取締役が会社の目的外の行為その他法令・定款に違反した行為を行い又は行おうとした場合に
取締役に対してその行為をやめることを請求する権利
  
■取締役会の議事録の閲覧請求権
  
■株主総会議事録の閲覧請求権
  
■株主総会の議題提案権
  
■ 刑事告発
会社に不利益な行為を行った場合には、背任罪になる可能性があります。
最近では、大王製紙の事件が有名ですね。
  
  
  
中小企業では、会社の財産、個人の財産の垣根がない場合が多いので、
少数株主がいる場合には注意しましょう!!!

ただし、中小企業の場合には、警察が受理しないケースが多い様です。
  
  
  
■ 損害賠償請求
  
  
取締役が違法行為をして会社に対して損害を与えた場合には、
損害賠償請求を行う事が可能です。
 
  
  
  
(2)少数株主権(3%以上保有している株主)
  
  
・会計帳簿の閲覧請求権
会計帳簿を閲覧し、不正行為を指摘し、株主総会などに提案ができたりします。
  
同族会社の場合、
節税対策、社長個人の経費が会社の経費に計上されている場合があります。
  

株主にとって、会社の利益が阻害されていることが多いです。
  
  
・株主総会の招集請求権
  
  
・取締役の解任請求権
株主総会において解任の議案が否決された時に裁判所に訴えることができる権利
裁判が終わるまでには時間と費用が掛かります。
  
業務的には、嫌がらせをすることが十分に可能です。
  
少数株主から訴えられた場合、
めんどくさいので高い金額で株式を買い取った方が
楽になると考える経営者も多いかもしれません。
    
   
  
以上のような権利が少数株主にもあります。
  
  
会社の経営者に対して牽制機能としては大きな意味があります。
  
  
  
注)上記については、機関組織(取締役会があるなしなど)によって少し取り扱いが変わります。
  
  
  
  

編 集 後 記

  
今回の話はどうでしたか?
  
少数株主にもある権利について記載しました。
  
経営者にとっては、権利を行使されたら厄介なことばかりです。
  
逆に少数株主にとっては、株式の価額を上げるために使える権利かもしれません。
  
弁護士は依頼者の味方です。
  
依頼をされた側の立場によって対応が大きく変わってきます。
  
相談をされる際には、会社法に詳しい弁護士にお願いすることをお勧めします。

★あさぎり通信vol.61  個人事業主の借入金利息

制 度 の 概 要

今回のテーマは、

個人事業主の借入金利息の経理処理についてです。

借入金利息は、全額を経費にできると思われがちですが、

実は状況によって経理処理が異なってきます。

処理によっては税金の負担が増加したりすることもあるので、注意が必要です。

税務に関する正しい知識を身につけ、無駄に税金を支払わないようにしましょう。

借入金利息の取り扱い

基本的な借入金利息の取り扱いについては、以下の通りです。

1 個人事業主が、運転資金の為の借入金利息

必要経費に計上します。

2 個人事業主が、新たに業務用資産取得の為の借入金利息

必要経費に算入することができます。

ただし、使用開始までの期間に対応する借入金利息については、

取得価額に算入することもできます。どちらか選択するようになっています。

※赤字になる場合には、

取得価額に算入して減価償却費で経費に計上したほうが良い場合もあります。

3 個人事業主が、新たに賃貸用不動産取得の為の借入金利息

(会社員の方が新たに不動産賃貸業を開始した場合等も含む)

  賃貸業を開始するまでの利息は、

  必要経費に計上することができず、賃貸用不動産の取得価額になります。

4 不動産賃貸業者が、2棟目等の賃貸用不動産取得の為の借入金利息

必要経費に算入することができます。

  ただし、賃貸開始までの期間に対応する借入金利息については、

  取得価額に算入することもできます。どちらかの選択です。

5 不動産賃貸業を廃止した場合の借入金利息

不動産賃貸業を廃止した後の借入金利息は、

必要経費に算入することができません。

6 土地取得の為の借入金利息は損益通算不可

 事業所得・不動産所得が赤字になった場合には、

 他の所得(給与所得など)と損益通算ができます。

 ただし、土地の取得に係る借入金利息は、

 他の所得と損益通算ができません。

 経費に計上しても税務メリットはありません。

 

 編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?

借入金の利息は常に必要経費になると

お考えの方も多かったのではないでしょうか。

事業開始までの借入金利息は、

必要経費になるか取得価額になるか、

状況によって異なるため注意が必要です。

税理士にお願いせずに税務申告をされている方は、

ご自身の確定申告を再度確認されてみてください。

特に不動産賃貸業の方は、借入金利息が多額の為、

税金への影響が大きいので要注意です。

★あさぎり通信vol.60  税務調査対策 仕入税額控除編

制 度 の 概 要

消費税の納税額は、売上等で預かった消費税から、

仕入等で支払った消費税の差額を納付するのが原則的な取扱いです。

 

売上等に係る消費税から仕入等で支払った消費税を控除することを仕入税額控除といいます。

この仕入税額控除は、帳簿の保存など法律の要件があり

これに該当していないと仕入税額控除ができない仕組みになっています。

 

具体的な要件ついては、下記に記載します。

例えば、下記のような会社の場合

売上    100万円  消費税8万円

経費     50万円  消費税4万円

利益     50万円

原則、消費税の納税額は、8万円-4万円=4万円になります。

ただし、法律上の要件に該当していない場合、

4万円の控除はできず、8万円になります。

なんと経費として4万円の消費税を支払っているにも関わらず

法律上の要件に該当しないだけで仕入税額控除ができないのです

具体的な要件

仕入税額控除の為には、法定事項を記載した帳簿及び請求書等の保存が原則必要です。

税込3万円未満の場合には、請求書等の保存は必要ありません。

税込3万円以上の場合において、やむを得なく請求書がない場合には、

理由、相手先の氏名、住所を法定事項が記載された帳簿に記載しなければなりません。

法定事項

課税仕入れの相手方の氏名

課税仕入れを行った年月日

課税仕入の内容等

課税仕入れに係る支払対価の額

例えば、支払の事実が確認できたとしても、

上記に記載した要件が揃っていないと仕入税額控除ができません

事業経費だと立証できたとしても

これらの要件に該当していないと仕入税額控除はできません。

実務的によくあることですが、下記の様な場合には注意が必要です。

・クレジットで支払ったが、クレジットの控えを保存していない。

カード会社から送られてくる利用明細は請求書等に該当しない為、

仕入税額控除は受けられません。

・アマゾン等でネット購入して、購入の内容のわかるものを保存していない。

上記の法定事項のわかる資料を保存していないと仕入税額控除は受けられません。

・内容や日付のない領収書、銀行の振込票などだけでは、

購入の内容が分からない為仕入税額控除は受けられません。

・支払額3万円以上の外注先から請求書等がなく、領収書しかない。

原則仕入税額控除は受けられません。

課税仕入れの事実を記載した帳簿及び請求書等の保存期間

保存期間は、7年間保存することとされており、

6年目と7年目は、いずれか一方の保存で良いことになっています。

 

 

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?

今年は、消費税が10%になる予定です。

消費税が多額になるため、

法律上の要件に該当していない為に

仕入税額控除が受けれなくなると大変なことになります。

今後、税務調査において、

消費税の調査、指摘されることが増えることが予測されます。

正しい法律知識を身につけ、損しないようにしましょう。

★あさぎり通信vol.59  消費税の納税義務の判定

消費税は昭和から平成になった年に施行されました。

 

あれから30数年が経過し様々な改正が行われて来ました。

 

 

今回は、実務で影響の大きい「納税義務の判定」事を、改正前も振り返りながらお話します。

 

 

概 要

どんな法律でも当初の制定されたものが完璧と言う事はなく、

又、時代の変化に応じて運用(改正)されて行きます。

 

 

特に、税収に直結する税法については、

国家予算の収入の大半を担う部分なので厳格・公平に運用されていると思います。

 

 

平成元年にスタ-トした消費税も、

法の不備を狙って様々な節税や脱税紛いな事が行われ、

それらを防止する為に法律の改正が着々と行われ今日に至っています。

 

 

その様な改正の中で、一番根幹の話である納税義務について色々な改正が行われて来ています。

 

 

納税義務の判定の原則

消費税の納税義務の判定は、基準期間の課税売上高(注)の金額によって判定されます。

 

 

 

(注)2年前の消費税のかかる売上高の合計額

 

 

 

基準期間の課税売上高が1,000万円以下の場合には、納税義務はありませんので、

原則は、その年度の売上が1億だろうが10億だろうが消費税を払わなくてもいいのです!

 

 

 

 

納 税 義 務 等 に つ い て の 改 正

納税義務判定の改正

 

この納税義務の判定を逆手に取って消費税逃れを防止する為に、

年々改正が行われ現在に至っています。

 

新規設立法人の納税義務免除の不適用(平成9年4月以降)

 

 

資本金1,000万円以上の新設法人は、基準期間の課税売上高が無いのに、第1期目から納税義務が発生します。

 

対策として、資本金を1,000万円未満にしていますよね!
 免税点の引き下げ(平成16年4月以降)

 

 

基準期間の課税売上高3,000万円→1,000万円

 

 特定期間に係る納税義務の免除の不適用(平成25年1月以降)

 

その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても

特定期間(注)における課税売上高(給与支払額)が1,000万円を超えた場合には

納税義務は免除されない。

(注)前期(年)の上半期

 

 

難しいですかね!

 

 

簡単に言うと、会社を設立して第2期は本来納税義務がないが、

第1期の上半期の売上の合計と給料の合計の両方が1,000万円を超えていたら

第2期は納税義務が免除されないんです。

 

 

課税売上5億円超の子会社等の納税義務免除の不適用(平成26年4月以降)

 

 

細かい要件は沢山あるのですが簡単に言うと、

 

課税売上高が5億円(グル-プの売上合算)を超える法人が、

 

子会社を新規に設立した場合には、

その子会社(兄弟会社)は初年度から消費税の納税義務が免除されない場合がある。

 

簡易課税制度の見直し

 

原則的な計算方法の他に簡易課税制度という方法がありますが、

この制度も厳しい方向に改正されてきました。

 

簡易課税を適用できるかの判定は、

納税義務者の判定と同じで、基準期間の課税売上高の金額で判定されます。

 

この基準期間の課税売上高が、以下の様に改正されて来ました。

 

5億円(施行時)

 

→4億円(平成3年10月以降)

 

→2億円(平成9年4月以降)

 

→5,000万円(平成16年4月以降)

 

そのうち、この制度自体が無くなるかもしれないですね!

 

この他に、みなし仕入率の見直しが4区分から現在6区分まで細分化されています。

 

 

 

 

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?

 

 

消費税は平成と共に出来た法律で、当初3%でスタ-トしましたが令和元年の今年は10%になる予定です。

 

 

税収の1/3位を占める消費税は今後も増税等で増えていくでしょう。

昔は、赤字法人なら税務調査は来ないなんて話もよく聞きましたが、
今後は赤字法人でも消費税を狙っての税務調査が増えると予想されます。

 

 

本日は、説明出来ませんでしたが、納税義務の事以外にも沢山改正が行われて来ており、

今後も増税の方向へ改正が続くと思います。

 

 

弊所では改正等があればアナウンスして行きますので、参考にして頂ければ幸いです。

★あさぎり通信vol.58  税務調査対策 無予告調査

 

税務署の職員の方が突然来たという話を聞かれたことはありませんか。
最近は、少なくなっているようですが、いまだに、無予告調査は行われています。

制度の概要

税務調査の手続きについては、国税通則法で定められています。
税務調査の手続きを明確にし、納税者の理解と協力を得て行うこが制度として定められています。

この制度により調査手続きが明確化され、
原則、事前通知を行い税務調査を行うことになっています。

ただし、例外として下記に記載する条件を満たす場合には事前通知をせずに調査ができることになっています。
尚、事前通知なしに行われる調査の事を無予告調査といいます。

無予告調査について

無予告調査を行う事ができるのは、

税務署長等が過去の申告、過去の調査、事業に関する情報等から違法又は不当な行為を容易にし、正当な税務調査が行われないと判断をした場合に限られます。 

違法又は不当な行為とは、下記のようなことが推認できる場合です。
〇逃亡することが合理的に推認できる
〇帳簿書類の破棄、隠蔽、改ざんなどが合理的に推認できる
〇上記のような行為について、関係者に協力を要請することが合理的に推認できる
〇その他これらに類する行為
例えば、過去の調査で売上の計上漏れ、架空経費の過大計上が発覚したとしても、

それだけで無予告調査を行う理由にはなりません。
事前通知した場合において、

適正な調査を行う事が困難と合理的に推認できる場合のみ無予告調査ができることになっているのです。

そこで実務的には、無予告調査が行われた場合の対策が必要です。
無予告調査は、マルサの調査ではないので何の強制力もありません。

日程変更も可能なのでその日は帰ってもらいましょう。
税理士に委任している方は、必ずその場で対応せず、後日一緒に対応すべきです。
もし、それでも税務署が帰らない場合には違法調査になる可能性が高いです。
繰返しになりますが、勇気を持ってその日は帰ってもらってくださいと断ってください。

そして直ぐに税理士に連絡をしましょう!!!
また、無予告調査が行われた場合には、無予告で来た理由を確認し、録音をしておくことが大切です。
とは言え、税務署は、絶対に具体的な理由は教えてくれないでしょう!!!

編集後記

今回の話はどうでしたか?
税務調査は、法律に基づき行われますので、法律に基づく対応を行う事が大切です。
また、税務調査において、税務署の職員の方が、法律に基づかない質問をする場合があります。

どのように対応したらよいのか一般的には判断が難しいと思いますので、

信頼できる税理士にお願いをするのが一番良いのではないでしょうか。