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★あさぎり通信vol.12 税務の落とし穴~その5

こんにちは。税理士の山根です。

本日のテーマは、税務の落とし穴第5弾です。
「社会保険料削減スキ-ムに潜む影」と題してお話します。

■概要

最近、巷で「社会保険料削減スキ-ム」が流行っているようです。
仕組みは、簡単で、社長の毎月の給料を抑え、賞与で支払う方法です。
何故、この方法だと社会保険料が削減出来るかと言えば、賞与に対する社会保険料は一定額以上で頭打ちがあるからです。
具体的には、健康保険料は年度の累計で540万円
厚生年金保険料は1ヶ月当り150万円で頭打ちです。
つまりこれ以上の支給なら社会保険料がかからないんです。

ちょっと分かりづらいので具体例を見て下さい。

(例1)年収1,200万円を毎月100万円づつ支給の場合
健康保険料115,150円×12=1,381,800円
厚生年金保険料108,339×12=1,300,068円
会社・個人両者負担合計2,681,868円

(例2)年収1,200万円を毎月10万円、賞与で540万円を2回支給する場合
健康保険料
(毎月分)11,515円×12=138,180円
(賞与分)540万円×11.75%=634,500円
厚生年金保険料
(毎月分)17,124円×12=205,488円
(賞与分)150万円×17.474%×2回分=524,220円
会社・個人両者負担合計1,502,388円

賞与で支給すると何と社会保険料の削減額1,179,480円!!!

尚、役員賞与を経費にする為には、税務署に「事前確定届出給与」
の書類を事前に提出するのが前提です。

■落とし穴

このスキ-ムを知らなかった方は、どう思われましたか!!
100万円以上削減出来て凄い!!
でも何か変だと思いませんか??

一部の社会保険労務士やコンサルタントが、このスキ-ムは、「事前確定届出給与」を出しているんだから、このような支払をしても税務上何も問題ないと言ってる様ですが・・・

問題大ありでしょ!! 
別に支払方法が変だから駄目と言っているんじゃないんですよ。
法人税法の条文(法律)に、報酬のうち、その役員の職務の内容、その法人の収益及び使用人に対する給与の支給状況、その法人と同種同規模の事業を営む法人の役員に対する報酬などからみて過大と認められる部分は経費にならないと書いてあるんです。
この中で、使用人に対する給与の支払状況という部分が問題となる可能性があります。
使用人に対して、給料はぐっと下げ賞与でたくさん支払う様な事をしていますか?という事です。

仮に、税務署がこの条文の理屈で否認してきたら、私は、反論出来ないし打破する自信はないです!!

先程の例で、役員賞与として1,080万円が否認されたら、社会保険料の削減なんか全く意味ないですよ。しかも、先程の例だと社会保険料の削減は表面的には100万円以上の効果がありますが、税効果(社会保険料は法人税、所得税等の経費となる)を考えると、実質的には、7割程度の削減、つまり、7~80万円程度の効果しかありませんよ。

7~80万円の効果だけで否認された時のリスクはデカすぎませんか!1,080万円の役員報酬が否認されたら追徴税額が延滞税等も含めると、少なくても300万円以上にはなります。

これを提案する社会保険労務士やコンサルタントは税法のことが分かっていないです。

こういうのを生兵というんですよ!!

絶対に大丈夫だからと言われたら責任取ってもらえばいいかもしれませんがね。。。。。

■編集後記

会社の運営上、社会保険料の負担は重く、しかも年々金額も上昇しているので1円でも削減したい気持ちは会社経営をしている私にも良くわかります。が、繰り返しになりますが、今回のスキ-ムは私は絶対に反対です。
昔は節税の為に、法人にしましょうと簡単に言っていましたが、今は社会保険料の事を考えると安易に法人化出来ないし、逆に法人組織を解散して個人成りとでも言うのでしょうか、個人組織にするもの、社会保険料の削減には有効なのかもしれませんね。
しかし頭が痛い問題ですね-

★あさぎり通信vol.11 税務の落とし穴~その4「土地の寄付」

おはようございます。 あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

前回、離婚に伴う財産分与時の注意点をお話ししましたが、本日の内容は、                    土地を寄附した時の取扱いで内容は類似しています。

お寺に寄付した前提で話を進めて行きます。

お寺さんが本堂の改修等で寄附を募る時がありますが、そんな時、                         お金が無いので、土地を寄付したらどうなるでしょうか??

◆概要

寺側は収入(もらって得するから)となり、寄付者は、寄附金として 経費になる様な気がしませんか!!!

正解は、お寺さんは、宗教法人なので、収入にはなりますが、税務上は非課税となり税金はかかりません。 「坊主まる儲け」とは良く言ったもんです。

問題は、寄付者の方ですが、相手がお寺さんで宗教法人だから問題無いし、 更には、自分の税金の計算上で何か控除とか出来るんじゃないか ・・・・・と思ってしまいませんか??

残念ながら、正解は、「みなし譲渡」となり譲渡所得税がかかります。  当然、寄附者には、寄付金控除等の特典もありません。

お寺さんが、公的である事について国税庁長官の承認を受けててくれ れば譲渡所得税はかかりませんが、現実的にはこの承認は難しい様です。

◆ポイント

【落 と し 穴】

土地を寄付しただけで別に気持ち以外は何も得していないのに譲渡と みなされ、税金がとられちゃうんですね。 お金を貰っていないのに譲渡になるなんて・・・・・

檀家の務めとして良いことをしたと思ったら後で大変な事になります。

【対 応 策】

・気持ちと少しの現金だけを寄附する(土地は寄附しない)

・売却換金後、税金分以外を寄付する

◆最後に

この話をして、寄附だから無償だから譲渡とみなされ税金がかかるんだ と思われた方はいませんか??

ならば、お寺さんに、1円とか1万円とかの有償売買にすれば、その売 買代金に対する税金を支払えばいいのではないか・・・・

これも駄目なんですね!!!!

売買金額が時価の1/2未満の場合には低額譲渡になり、時価で売買した ものとみなされて結局、譲渡所得税がかかるんです。

今回お伝えしたかったのは、お寺さんへの寄付の話ではなく、相手方が公的な機関(NPO、社団法人等)の場合や、お世話になっている団体、或いは、困っている友人の会社や自分の会社に善意で土地を寄付した場合に、お金を貰っていないのだから、無償だから何も問題がないと考えていたら、後で税務署からお呼びがかかるという事です。

知らなかったじゃ済みません!

本当に気を付けましょう!!

尚、相手方が公的な機関の場合には、寄付金控除の対象(税金がかからない)になる場合があるので  必ず事前に確認しましょう

★あさぎり通信vol.10 役員・従業員に支給する食事代の負担金

おはようございます。

あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

すっかり春らしい気候になりましたね。事務所の中は汗ばむほどですが…。

 

さて、今回のお話は、従業員に支給する食事代についてです。

 

■概要

役員、従業員(以下使用人という)の食事代は、本来は使用人が払う
べきものなので会社が負担した場合には、使用人の給与として所得税
が課税されます。

しかし、下記の場合には、所得税が課税されません。

会社負担は、少額で節税効果は小さいですが、使用人にとっては、日
々の食事代が抑えられる為、使用人からは大変喜ばれます。

■昼食代 残業時食事代

昼食代>

昼食代が、下記の場合には、所得税が課税されません。

尚、会社負担分は、経費になります。

1.食事代の半額以上を使用人が負担していること
 2.会社負担が、月額3,500円(税抜)以下であること

例:宅配の弁当(単価 500円)の場合、会社負担150円(22日分)に
したら使用人の負担は、350円になります。
350円で食事ができたらかなりうれしいですね

外食する人も、会社で食事するようになり使用人の親睦につながるか
もしれませんね。

<残業時の食事代>

会社が、残業した者に支給する食事代は、所得税の課税対象にはなり
ません。全額、会社の経費になります。

使用人の労をねぎらうためにも支給してはいかがでしょうか。

■編集後記

福利厚生の一環として、食事代の負担を考えてみてはどうでしょうか。

最近、求人の募集が難しくなっています。福利厚生を強化することに
より同業他社との差別化を図ることができ、採用しやすくなるかもし
れませんね。

★あさぎり通信vol.09 税務の落とし穴~その3

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

しばらく間が空いてしまいましたが、、、
本日は、税務の落とし穴編第3弾です。
内容は、「離婚に伴う財産分与」に関するお話しです。

日本では、何と3組に1組、約2分に1組は離婚しているとの報告
もあります。

不本意ながら、この様な事態になった時の注意点です。

【概 要】

民法では、離婚した者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求
する事が出来ます。

このような中で財産分与を受けても贈与により財産を取得した事に
はなりません。(贈与税はかからない)

【落 と し 穴】

上記の通り、離婚に伴う財産分与で財産をもらった方は税金はかか
りません。

が、財産を渡す方はどうでしょうか??

財産には、現金もあれば現金以外の不動産等もあります。
現金を渡す場合には何も税金の問題は発生しません。
ところがお金がないので、「この家で勘弁してくれ」となると問題
発生!!!!です。

実は、不動産を渡すと、渡した方に譲渡所得税がかかるんです。
税務では、「みなし譲渡」というのですが、無償で渡した場合には、
時価で譲渡したものとみなされ税金がかかるんです。

家が取られ、後で税金まで取られるんです。

「踏んだり蹴ったり」か「自業自得」か

もちろん、譲渡所得税がかかるのは、時価が買った値段よりも高く
売却利益が出る場合に限られますが。

【対 応 策】

○ 離婚しないこと

○ 居住用不動産の特例(3,000万円控除)を利用して、先に売却し、
換金した後にお金で渡すなどの工夫をする

頭に血が上って「家をくれてやる」は禁句で「金をくれてやる」に
しましょう。

【最 後 に】

世の中の取引には必ず2者が登場します。今回の様なケ-スだった
り、商売では、売り手と買い手などの様に。

常に、自分がどっちの立場に居るのか考えないといけなし、場合に
よっては、第3者的に両者の利害も考えないといけない場合があるの
ではないでしょうか?!

一方の事だけしか考えないと、今回の様なケースで思わぬ税金が発
生する場合が税務上ではありますので気を付けましょう。

次回も似たような事例をお届けする予定です。

★あさぎり通信vol.08 税務の落とし穴~その2

こんにちは。

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

 

 

本日は、税務の落とし穴編第2弾です。

内容は、「短期前払費用」に関するお話しです。

 

では早速内容です。

 

━━━━━ 短期前払費用について ━━━━━・・・・・‥‥‥………

 

【はじめに】

 

節税対策の中で、最もポピュラ-であり、使い勝手が良いので、

利用されている方も多いのではないでしょうか??

 

確かに、使い勝手が良いですが意外な落とし穴がありますので、

まずは、概要を説明し、次に落とし穴について解説します。

 

 

【概 要】

 

その事業年度の経費に落とせるのは、原則、事業年度内に、債務

の確定したもの、つまり支払額の確定したものに限られます。

したがって、来期の費用を今期に支払っても債務が確定していな

いので経費に落とす事が出来ません。

 

この、「短期前払費用」の取扱いは、来期の家賃や保険料を払っ

た場合に例外的に経費として認めてもらえるという特例規定です。

 

例えば、3月決算で、3月に支払った家賃は通常4月分の前払な

ので来期の経費となり、今期では落とせないのが原則です。

これは前払金になって経費にならないからです。

当たり前に経費として処理しているかもしれませんが、この規

定があるから、例外的に経費になっているだけなんですよ。

 

更に経費で落としていい期間が最長1年先までという事です。

 

という事は、この特例を使う初年度は最高で24ヶ月分の家賃や保

険料が落とせるんですよ、これは相当節税になりますよね(2年目

以降は節税メリットはないですが・・・・・)

 

ただし、この特例を認めてもらう為には、次の要件が必要です。

 

 

○ 支払った日から1年以内に役務の提供を受ける場合

 

○ 支払を継続的に行う場合

 

○ 一定の役務の提供でその費用に変化のないもの

(例)家賃、保険料

保険料には、vol.3でお伝えした経営セ-フティ共

済や小規模企業共済の年払にも使えます。

 

ちなみに、この規定は、個人事業主さんもOKですからね

 

【落とし穴1】

 

上記で変化のない費用と表現しましたが、例えば、この様な場合

はどうでしょう??

 

「先生、今期は儲かってるから、先生の顧問料1年分払っとくよ-」

みたいな・・・・話です。

 

早めにお金を貰えるので私としては嬉しいですが、これはアウト、

ダメなんですねー

この規定は、役務の提供に変化のないものに限られています。

したがって、税理士業務の様に、毎月の業務の内容が一定してい

ないもの、変化のあるものは認められないんです。

 

 

【落とし穴2】

 

家賃の前払のケ-スで、次の様な支払は、この特例は使えません。

 

○ 社宅家賃の支払い

 

○ 一部を転貸する場合

 

この特例が適用出来ない理由として以下の様に通達が出ています。

「借入金を預金や有価証券などに運用する場合のその借入金の支払

利息のように、収益と対応させる必要があるものについては、たと

え1年以内の短期前払費用であっても、支払時点で損金の額に算入

することは認められませんので注意してください。」

 

何だか、難しいですが、支払と連動してヒモ付きの収入が発生す

る場合には認められないよ、という事です。

 

経費だけ1年分計上して、見合いの収入は計上しないというのが

許せないのでしょう。

 

したがって、社宅の場合には、必ず社宅家賃を徴収しなければな

らないし、親会社等が一括で賃貸して、一部を子会社、別会社に転

貸する様なケ-スでは見合いの収入が発生する為、この特例は適用

出来ませんから注意しましょう。

 

 

【落とし穴3】

 

落とし穴1までの話は、書籍などにも出ていますが、落とし穴2に

ついてはご存じでしたか??

 

さて、最後の落とし穴3は、私独自の意見なので、書籍やネット上

には出てないと思います。

勿体ぶりましたが、家賃を前払いする場合に大家が破産した時は

どうなるの?という事です。

 

節税の事ばかり気にしていると、思わぬ落とし穴にはまる場合が

あります。

 

1年分前払いをして1年経過するまでの間に大家さんが破産したら

どうなるのでしょう???

 

この件に関し、当グル-プの弁護士と意見調整しましたが、結論

的には、破産後に、その物件が「任意売却」になった場合には、前

払分や敷金は次の大家さんに引き継がれる可能性が高いので心配な

いが「競売」になった場合には、原則、前払分や敷金は切り捨てら

れるという事です。

 

大家さんが破産した場合、最悪は、「敷金」「前払分」が没収に

なるので、多額の前払をする場合にはよく考えてやりましょう。

 

【最 後 に】

 

最後に、この特例は支払者側の取扱いですから、貰う方(大家等)

は、受取時に1年分を売上にする必要は当然ないですからね・・・

 

たまに大家さんが、嫌がるとか、ダメだと言う話をお聞きしますが

大家さんが貰った時に1年分計上しないといけないと勘違いしている

からだと思います。

そう言う時には、上記の旨を説明して下さい。

 

この「短期前払費用」の規定は、どうせ翌年以降に支払わないとい

けないお金の単なる前払なので、比較的扱いやすい節税方法でしょう。

 

ただし、落とし穴もありますので注意しましょう!!

★あさぎり通信vol.07 法人税の節税ポイント 旅費・日当

税理士の藤田です。

朝晩めっきり冷え込んできましたね。気がつけば明日からもう11月です。

気温差が激しいので、みなさん体調管理に気を付けましょう。

ちなみに私はもう既に先週大風邪を引きました。毎冬誰よりも早く風邪を引いてしまいます。

この冬はもう体調を崩さないよう気を引き締めいていきたいと思います。

 

さて、今回みなさんに知ってもらいたい節税対策は、「旅費・日当」についてです。

 

下記のメリットがある為、出張の多い方は、給料を減額し、日当として支給す

る提案です。

 

━━━━ 旅費・日当について ━━━━・・・・・‥‥‥………

 

【日当とは】

日当とは、出張に伴う食事代、消耗品代、慰労を補うために支給する手当です。

 

個人事業者の方については、適用出来ない為、出張の多い方は、法人の設立を

検討しましょう。

 

【日当のメリット】

 

○ 法人の旅費交通費として経費になる

 

○ 消費税の税額控除が可能になる

→消費税が減額できます

 

○ 日当をもらった個人は、所得・住民税の対象にならない

→無税で取得できます

 

○ 社会保険料の対象にならない

→社会保険料を抑えることができます

 

以上の様に、支払う法人と、貰う個人の両方にメッリトがあります。

 

【日当の決め方】

 

上記のように、メリットが沢山あります。この為、給料を抑えて、日当をたく

さん支給すればいいじゃないかと考えます。

ただし、税務署は、たくさん支給すると給料として課税する場合があります。

 

この為、日当の決めた方が重要なポイントになります。

 

○ 旅費規程を作成し、具体的な金額を明記する

 

○ 旅費精算書を作成する

 

○ 社長だけでなく他の役員、社員にも支給する

 

○ 当り前ですが空出張はダメ

 

社長と社員さんの金額に違いを設けることは可能です。

 

例 出張1日当たり(1泊2日だと2日分OK)

社長 15,000円 役員 10,000円 社員 2,000円

 

金額については、法律上、上限が決まっていませんが、業種、会社規模、目的地

などの個別事情によって決めます。

 

尚、弊所では、通常、社長には1万/日として提案しますが、他の者とのバランス

会社規模、海外出張によってはこれ以上でも以下でも良いのではないでしょうか?

 

ただ、私見ですが、社長の日当が3万円以上になると否認リスクが高くなり合理的

に説明できる理由が必要になるのではないかと思います。

 

尚、日帰り出張でも支給は可能です。

法律上の決まりはありませんが、100キロ以上離れた場所が目安ですかね。

 

【宿泊費・交通費について】

 

日当について触れましたが、宿泊費、交通費についても実費精算でなく旅費規定

に基づく支給を行っても問題がありません。

 

ポイントは、日当と同じく旅費規程に定める等です。

また、宿泊費は、大都市と地方都市では、金額に差をつける方がよいでしょう。

 

こうすれば、旅費規程と実際との差額、例えば、東京に出張して旅費規定に基づ

く宿泊費を3万円支給し、実際は1万円のホテルに宿泊しても差額の2万円は、返金

しなくてもよいですし、勿論、給与課税されることはありません。

 

新幹線についても、社長は、グリーン車、社員は、自由席と金額を決め実費精算

しない事も可能です。

 

【最 後 に】

 

日当、宿泊費、交通費について、会社の内規で決めるだけで、恩恵が受けられる

反面、旅費規程や精算書の不備等は問題になるのできちんと作成しましょう。

 

また、支給金額の基準が分かりにくいですが、通常考えられる常識的な範囲内で

あれば問題がないです。

第3者が見て明らかに多い金額は否認されるでやり過ぎには注意です。

★あさぎり通信vol.06 税務の落とし穴~その1 

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

 

本日のテ-マは、税務の落とし穴です。

 

事業承継や相続対策で利用される「相続時精算課税」の話です。

 

 

━━━━ 相続時精算課税の落とし穴 ━━━━・・・・・‥‥‥………

 

贈与税の特例で「相続時精算課税」というものがあります。

この制度を利用すると、暦年贈与(110万円まで非課税)が使えな

くなるので、経営者・資産家の方には積極的に薦めませんが、この

制度の特性を利用して次の様な場合には節税提案をします。

 

【利用する前提条件】

 

○ 土地等で将来開発等の予定があり、現状価値のない土地が化け

る(高騰)事が予測される場合

 

○ 会社の業績が順調で、自社株の価値が年々上がる可能性が高い

場合

 

○ その他の資産で、将来確実に値上がり期待・確定している場合

 

以上の様に、将来価値・価格が高騰する事が確実と認められる時

 

【特 性】

 

相続時精算課税は字の如く、相続時にはその贈与した財産を相続

財産に持ち戻して相続税の計算を行うが、その持ち戻しをする金額

が、「贈与時の金額」でいいのです。

 

つまり、上記の様に将来値上がりをしても贈与時の金額で固定出

来る為、上記の様な前提条件の場合には、相続税の評価額が安くな

り、結果、相続税が節税出来るわけです。

 

【手 法】

 

上記の前提条件の中でも、自社株の場合には、会社の含み損を計

上したり、社長に役員退職金を支給したりして株価の評価を下げ、

この制度を利用し一機に株式を移転させます。

 

【効 果】

 

その後、相続時に土地が値上がりしたり、自社株の評価が跳ね上

がっても相続税の計算は贈与時の価額で計算されるので相続税の節

税が可能となる。

 

【落とし穴】

 

この様な提案は税理士さんもされるし、節税本にも良く出ていま

すが、本当にこれでいいのでしょうか??

答えは△です。税理士的には、税務の節税アドバイスをしている

のでOKかもしれませんが、落とし穴になるケ-スがあります。

 

~そ の 1~

何かというと「遺留分」の問題です。

 

バトンタッチを受けたご子息が、自社株の問題がクリアになり、心

が晴れ、会社を大きくし、業績がアップした結果株価の評価が10倍

20倍に跳ね上がったらどうなりますか??

やっぱ、節税対策しといて良かった-では済まないかも・・・・

 

確かに、相続税の計算は、10倍、20倍にに跳ね上がる前で計算出来

るのですが「遺留分」の減殺請求があった場合の対象となる金額は、

相続発生時の金額、つまり、株価10倍、20倍の金額ですよ・・・・

 

税務の事だけ考えて対策をすると、自分で自分の首を絞めるような

事にも成りかねないので、ト-タル的に問題を考えないと大変な事

になる場合があります。

 

~その2~

受贈者(息子)が先に死んだら・・・・

 

人の寿命に順番はありません。

この制度を利用して、息子が先になくなると同じ財産に2回相続税

がかかるんですよ・・・・

 

(設例)

・父(H26年死亡):相続人は母と孫(代襲相続人)

・息子(H24年死亡):相続人は妻と子

・H20年に1億円を息子に相続時精算課税で贈与

 

(1)H20年の贈与税

(1億円-2,500万円)×20%=1,500万円

 

(2)H24年息子の相続税(説明上息子の財産は父からの贈与のみ)

妻と孫に1億円から贈与税1,500万円を控除した財産に相続税発生

 

(3)H26年父の相続税

1億円が父の持ち戻し財産となり、妻と孫に2度目の相続税発生

尚、妻は、遺贈によって財産を取得した事になる

 

上記は、説明上贈与財産の値上がり等は考慮していませんが、同

じ財産で2度の相続が発生します。

 

【最 後 に】

 

今回の話は、レアなケ-スかもしれませんが、節税の事だけでなく

トータル的に考えて対策をしないと、後でとんでもない落とし穴が

待っているかもしれません。

 

税金の事だけに注視せず、広い視野で考えましょう。

★あさぎり通信vol.05 これは節税か??

本日のテ-マは、一部で節税という事で流行っている保険の話です。

 

結論から言うと「租税回避行為」の最たるもので危ない危険、気を

付けましょうという情報です。

 

それでは内容です。

 

 

■ 生命保険の名義変更による節税? ━━━・・・・・‥‥‥………

 

掛捨てでない保険(逓増定期・長期平準定期)は、解約するとお金が

戻ってきます。これを解約返戻金といいます。

 

法人契約で、この様な一定の保険に加入すると、半分損金(経費)で

落とすことが出来き、解約時には、払込保険料相当額が戻って来るの

で節税として保険加入されている方は非常に多いと思います。

 

この様な取引は何ら問題ないですが、最近以下の様な方法で節税しま

しょうという話(保険)があります。

 

【前 提 条 件】

 

毎年、保険料を500万円を支払い、解約返戻率等の推移が

1年目:0%(解約返戻金0円)

2年目:5%(解約返戻金50万円)

3年目:10%(解約返戻金150万円)

4年目:20%(解約返戻金400万円)

5年目:95%(解約返戻金2,375万円)

という様な保険商品があります。

 

【手 順】

 

1. 毎年保険料を支払うと、年間250万円(半分)が損金

 

2. 4年間支払った後に、個人(社長)に解約返戻金相当額(400万円)

で名義変更

→4年間で払込保険料累計の半分1,000万円が損金

残りは、資産として積立経理しているので、解約返戻金との

差額600万円が更に損金

 

この時点で、支払総額2,000万円の内1,600万円が損金

 

3. 5年目に個人で1年分の保険料を支払い、その後直ぐに解約し、

2,375万円(解約返戻金)を個人で受け取る。

→実質個人増加金額は、解約返戻金から、買取金額400万円と

1年分の保険料500万円を控除した1,475万円

 

4. 増加金額は一時所得扱いなので50万円を控除して更に1/2した金

額に対する税金を個人で納付

→一時所得の税金は非常に安い・・・

 

5. 以上の手順を行えば相当額の節税になる、考えた人、保険会社は

凄い、偉い、エクセレント・・・・・・

 

【結 論】

 

こんな美味しい話があるの?大丈夫なの?

 

大丈夫じゃないでしょう、このスキ-ムは明らかに「租税回避行為」

 

初回に、「節税」と「脱税」と「租税回避行為」についてお知らせし

たと思いますが、このスキ-ムの一連の流れには経済的合理性が全く

無いです。

 

 

法人から個人への買取金額が問題であり、確かに法人税の原理原則で

ある、時価(解約返戻金相当額)の売買なので法律違反ではない。

 

でも、こんな取引(20%で売買して1年後には95%)は、他人との間で

成立しますか?社長にだから売るんでしょう・・・

そんな美味しい話なら私に売ってよ すぐ買いますよ・・・

 

明らかに、税金を不当に逃れる理由しかない・・・合理的な説明が出来

るとは思えない。

 

この様な場合には、我々の業界で「伝家の宝刀」と呼ばれている「同族

会社の行為計算否認(法人税法132条)」によって税務署は否認する事

が出来るんですよ。

 

この規定は、同族・身内間で今回の様な他人との間ではあり得ない様な

取引・行為があった場合に否認される規定です。

 

このスキ-ムは、近い内に、税務当局から法律のメスが入るでしょう。

 

 

税務否認リスクが高いので気を付けて下さいね。

★あさぎり通信vol.04 経営者保証について

本日の内容は、「経営者保証に関するガイドライン」です。

 

中小企業が銀行からお金を借りる時の個人保証の取扱いです。

 

 

経済産業省等が作成し、平成26年2月1日よりスタートさせています。

 

 

詳しい内容等々は以下の通りです。

 

 

 

■ 経営者保証に関するガイドライン ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

 

【経営者の連帯保証が不要となる場合】

 

○ 法人と経営者個人が明確に区分・分離されている場合

○ 法人と経営者の間の資金のやりとりが社会通念上の範囲を超えない

○ 法人のみの資産・収益力で借入返済が可能

○ 法人から適時適切に財務諸表等が適用される

○ 経営者等から十分な物的担保の提供がある

 

以上、全部を満たす必要はないですが多く満たしている方が対象となり

やすい。

現実問題としては、ハードルが高いですね-

 

ちなみに、日本政策金融公庫では、マル経融資(無担保無保証 2,000

万円)新規創業者融資制度(無担保無保証)があります。

 

【保証債務の整理について】

 

多額の個人保証を行っていても、早期に廃業などを決断した際に一定の

生活費等を残すことや「華美でない」自宅に住み続けられることが出来

る様に検討

 

このガイドラインは、万が一の時には使えるかも・・・・

 

【まとめ】

 

日本の中小企業が銀行からお金を借りる時は、代表者が連帯保証になる

のが一般的です。

なので、会社が順調な時はイイですが、会社が返済出来ず倒産等した時

には、個人も一緒に沈まないと(自己破産)いけません。

 

今回の話はあくまでもガイドラインなので法的拘束力はないが、中小企

業庁と金融庁が作成したものなので銀行に対する影響力はあります。

 

今後の流れとしては、代表者の個人保証を取らない方向なので、銀行に

交渉してみましょう。

ただ、銀行のリスク対策として金利は上昇するでしょうが・・・

★あさぎり通信vol.03 所得税対策〈掛金が全額所得控除できる共済制...

本日の内容は、「小規模企業共済制度」です。

 

前回の「経営セフティ-共済」同様、知らない方が意外に多いの

で優先順位を上げてのご紹介です。

 

 

詳しい内容等々は以下の通りです。

 

 

■ 小規模企業共済制度 ━━━━━━━━━━━━・・・・・‥‥‥………

 

【概 要】

経営者の退職金制度

 

【運 営 先】

独立行政法人中小企業基盤整備機構という所で、要は国が運営してい

る様なものなので安心(潰れないでしょう・・・・)

http://www.smrj.go.jp/skyosai/

 

【加 入 出 来 る 人】

○ 個人事業主

○ 中小企業の役員

 

【特 徴】

○ 掛金は、1,000円~70,000円の範囲内で自由に選択が可能

○ 予定利率1%(変動あり)で運用される

○ 納付掛金の範囲で借入も可能

 

【税務上の節税メリット】

○ 掛金全額が、所得控除(所得税・住民税の控除)

○ 受取時の税金が安い

・退職・会社解散時の受取

⇒退職所得(退職控除額を控除して更に1/2)

・任意解約時の受取

⇒一時所得(50万円を控除して更に1/2)

・死亡時受取(遺族が受取る)→相続税の退職金扱い

⇒500万円×相続人の数までは非課税

 

【注 意 点】

任意解約は、解約時期(240ヶ月未満)によっては掛金を下回る

⇒節税額を考慮した場合には、掛金を上回ることが多い

 

【ま と め】

小規模企業共済は、入口(支払時)では全額所得控除になり、出口

(受取時)でも退職金等の扱いで非常に税金が安い、すごい

税率が高くなる程、節税効果は大きくなるので所得税対策を検討さ

れている方は、今直ぐ加入しましょう。

もちろん私も加入しています。