★あさぎり通信vol.13 税務の落とし穴~その6

おはようございます。税理士の山根です。

今年ももう半分が過ぎようとしていますね。あっという間の上半期でした。

今回のお話はVol.06(2016年9月27日配信)で配信しましたが、

「相続時精算課税制度」で前回の補足です。

本日のテーマは、

「相続時精算課税制度は利用すべきか?」

です。

■概要

「相続時精算課税制度」は、贈与税の特例ですが、60歳以上の                         父母又は祖父母から20歳以上の子供又は孫が贈与を受けた場合に2,500万円まで非課税(超えた部分は20%の税金)というものです。
この制度の特徴としては、
○1度利用すると、「暦年贈与」に戻れない
○相続が発生した時に、贈与時の金額を相続財産として持ち戻し
相続税の計算を行う

 

■内容

○この制度を1度利用すると、暦年贈与(110万円)が使えない
○前回も触れましたが、遺留分の問題
⇒相続発生時に贈与時の金額で持ち戻す為、財産の価額が上
昇した場合に、相続税の節税にはなるが、遺留分の金額は増
えてしまう
○これも前回、触れましたが、息子が先に死ぬと同じ財産に2
 相続税がかかる
○贈与した財産が相続発生時に、贈与時より大きく価額が下落し
ていた場合に、他の相続人からクレ-ムが出る可能性がある
⇒相続発生時には贈与した財産の価額が下落しているにもか
かわらず、相続税の計算上は贈与の時の高い金額を持ち戻す
為、その結果、相続税額の総額が増えてしまう

要らん事、この制度なんか使わなければ、相続税の総額は安
   くなっていたのに・・・みたいな

○贈与で財産をもらった人が、相続発生時までに全部使って持っ
ていなかったら、他の相続人が相続税を納付しないといけない
⇒相続発生時に贈与財産を持ち戻して相続税を計算し、その
贈与を受けた人はその金額に相当する相続税の納税をしなけ
ればならない
が、実際にはお金を使っていて税金が払えない!!!

相続税には連帯納付義務という制度があり、他の相続人が肩
代わりしないといけなくなる・・・

■編集後記
前提条件として、相続税のかからない方には、今回の話は、無関
係なので利用して頂いて問題ないですが、相続税のかかる方は、
利用すべきではないですね。

とにかく、不確定要素が強すぎる!!!
先の事は分からない!!!

贈与をするなら「暦年贈与」にしましょう。