★あさぎり通信vol.30 贈与に関する都市伝説・誤解その2

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

さて、本日のテ-マですが前回・前々回の私のパ-トで掲載している贈与に関する内容の続きです。

内容としては、お客様から良く聞かれる事なのですが、

1. 未成年者(赤ちゃん)に対する贈与は大丈夫なのか?(vol.29参照

2. 贈与する金額は110万円以上にして、証拠の為に贈与税は払った方がいいのか?

3. 毎年贈与する金額や日にちは変えた方が良いのか?(次回掲載予定)

以上の3点ですが、今回は2について解説しようと思います。

今回も1と同様、本やネットで検索すると非常に多くヒットする内容です。

都市伝説や誤解、又、人によって言う事が違ったりするので、私を信じて最後まで読んで活用して下さいね!

概要

「贈与する時には、贈与金額を110万円以上にして、贈与税は申告しておいた方がいいんですか~?」

この話は良く聞きませんか~?私も実際に良く質問されます。

結論から言うと、贈与の金額を110万円以上にして贈与税は払った方がいいでしょうね

何故なら、贈与税の申告が出ていれば、税務署からの指摘を受ける可能性が減りやすいからです

疑われずして素通りして行く可能性が高いという事です。

実際の税務調査の現場では、家族間の資金交流について、調査官から

「これとこれは贈与税の申告がされているので分かりますが、その他の動きについてはどうなっているのか分からないので説明してもらえますか?」というケ-スが多いです。

何度も解説していますが、贈与成立の為には、

〇 当事者間の意思があったかを担保する為の契約書の有無

〇 実体として贈与により財産をもらった人が、その財産を自分のものとして管理・保管しているか

などの要件が絶対に必要です。

勿論、以上の様に完璧に贈与成立の要件を満たしていれば、110万円以内の贈与であっても、何も問題はありませんから、びた一文税金を払うのが嫌な方は、申告など行う必要はありませんが・・・・

ただ、税務署に説明するのは面倒だし、因縁をつけられたら嫌ですよね!

贈与税の申告書が出ていれば素通りする可能性が高いから、税務署との応対が減りやすく、気も心も楽じゃないですか! 

という理屈です。

注意点

逆に、気を付けなければならないのが、贈与税の申告をしていれば、後で問題が起こらないと思っている方です。

贈与税の申告=贈与成立では決してありません!

都市伝説であり大きな誤りです!

 贈与税の申告は、贈与成立を立証する為の1つの証拠にしか過ぎません

具体的に下記の様なケ-スがよくあるパタ-ンじゃないでしょうか。

(1) 贈与者(財産をあげる人)が、受贈者(財産をもらう人)の通帳にお金を振替、通帳は渡さずに、贈与者が贈与税の申告を行い、贈与税も支払う。

(例)おじいちゃんが孫名義の通帳を作って、そこに振込、通帳自体は、孫や孫の親には渡さず、その後、おじいちゃんが贈与税の申告を行い、贈与税も自分で支払う。

(2)受贈者が贈与者のお金を通帳から引き出し、自分の通帳に振替、受贈者が贈与税の申告を行い、贈与税も支払う。

(例)認知症の親の通帳から、お金を引き出し、自分(子)の通帳に振替、その後、贈与税の申告を行い、贈与税も自分で支払う。

申告しているから大丈夫だと思ったら絶対にNGです!!

余談ですが、上記(2)の場合には、遺産分割の際に他の相続人からも、勝手にお金を流用しているので指摘を受ける可能性大です!!

裁決事例(H22.4.1)でも、贈与税の申告がされていても否認されています。

また、私見ですが、どうせ申告するのなら、贈与金額を120万円以上にして1万円以上の贈与税は払った方がいい様な気がします!

100円か200円の贈与税だと公証人役場の確定日付の手数料よりも安い!!

私が税務調査官だったら逆に、こいつ、あからさまに証拠作りの為に、税務署を利用して申告したなと思います。

そうなると、本当に贈与が成立しているのか、ちょっと実体の調査でもしてみよう、なんて気にさせそうです。

編集後記

今回の話も都市伝説で誤解されている方が多い内容だと思います。

きちんと贈与の手続きをしていれば、課税トラブル(否認)になる事はありません

 ただ、税務署に何か言われるのは面倒ですよね!嫌ですよね!

だから、贈与税の申告をした方が楽じゃないでしょうかね。