★あさぎり通信VOL.210 取締役の解任

おはようございます。

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

先週、元総理大臣の村山富市氏がお亡くなりになりました。

眉毛のオジサンのイメ-ジが強いですが連立政権により総理まで上り詰めた人です。

今まさに当時と同じく窮地に追い込まれた自民党が連立を模索し政治が混沌した状況になっています!

政権を取るまでは、いい事ばかり言っています。

国民に寄り添った政治を期待するところです。

その場しのぎの連立だと後々問題が残り破綻します。

会社経営においても、株主や取締役などで他人と連立する場合、何かで揉めると経営的にも金銭的にもダメ-ジが発生します。

会社で法的に力があるのは言わずと知れた株主です。

株主については経営権や株の買取請求など大きな爆弾を秘めている為、株主構成は慎重にする場合が多いと思います。

逆に、取締役の選任については安易にしている場合も多いのではないでしょうか?

本日は、取締役についての爆弾のお話です。

取締役の解任について

概要

中小企業で他人を取締役にする理由として考えられるのは、経営に参加してもらいたい、モチ-ベッションの向上、残業代を払わなくていい、定年がない、などだと思います。

又、何かあっても株主の過半数以上でいつでも解任出来るのであまり深く考えずに任命している会社も多いのではないでしょうか?

確かに委任契約で、過半数以上の株(議決権)があればクビにする事自体は簡単です。

ただし、正当な理由もなくクビにすると損害賠償を請求される可能性があります。

可能性と言うより請求されると思った方がいいでしょう。

具体的な請求金額は、任期満了までの報酬総額です。

現行、取締役の任期は最長10年です。

残期間が長ければ相当な金額となります。

仮にクビにした取締役の現状の年間報酬が700万円で残任期が5年あれば3,500万円の損害賠償金を請求されると思ってください。

更に、退職金規定があれば退職金の支払も発生します。

予防策

まずは、安易に選任しない事です。

次に、役員の任期を短くする事です。

尚、任期を短くすれば任期満了ごとに登記費用が発生する というデメリットはあります。

役員の任期は、会社法上、最短2年となっています。

任期を短くしておけば損害賠償金の金額も少なくなります。

残任期が長い場合には、何かあっても直ぐにクビにするのは経済的に得策ではありません。

尚、残任期が長い場合に、決算終了後の役員報酬の改定で理由もなく大幅に減額する事は当然に認められないでしょう。

又、有限会社には原則、取締役の任期がありません。

定款に任期を定める事も出来ますが無ければ無期限です。

ここで心配になるのが、有限会社で取締役をクビにした場合には、損額賠償金額も期限がないので無制限の青天井になるのではないかと言う事です!

結論から言うと、有限会社の場合には、過去の多くの判例で損害賠償金は払わなくていい様です。

有限会社の場合には、損害賠償金なしと覚えておいてください。

編集後記

本日の話はどうでしたか?

経営者目線ではありますが、最悪の話で頻繁に起こる話ではありません。

しかし、人間、仲がいいと時は問題ないですがいつ揉めるか分かりません。

株主選任と同様に取締役の選任も安易に考えない様にしましょう。

配偶者を取締役にするケ-スも多々ありますが離婚したら大変です!

又、退職金規定についても安易に導入しない方がいいかもしれません。

少し話が反れますが、M&Aで会社の売却をする場合に、退職金規定があると隠れ債務となり一般的に売却金額が下がります。

登記費用の事もありますが任期を10年にすると言う一択は無しです。

今回の様なケースも想定し慎重に決めましょう。