作成者別アーカイブ: shiramasa

★あさぎり通信VOL.169 生前贈与加算の対象期間の延長

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

早いもので今年も後2週間で終わりですね!

時が過ぎるのが早過ぎて嫌になりますが、今年やり残した事がないか再確認しましょう。

年末になって世間では政治問題でゴタゴタしています。

私が言っていけないかもしれませんが何だか納税意欲が減退します。

厳しい処罰と今後の対応を期待したい所です。

さて、本日のテーマですが、本メルマガでも何回かお伝えしましたが、

来年から改正される生前贈与の加算期間の制度についてです。

年内の駆け込み需要も含めてのご案内です。

生前贈与加算の対象期間の延長

制度の概要

相続税対策の鉄板と言えば贈与による財産移転です。

贈与税は年間110万円の基礎控除額があるので110万円を贈与している方も多いと思います。

この場合に、贈与した人が死亡した場合には、死亡前3年以内の贈与については、

相続財産に「持ち戻す」という制度があります。

分かり易く言うと、死亡前3年以内の贈与については無かった事にして

相続財産に含めて相続税を計算する制度です。

この「持ち戻し」期間が3年から7年に来年から延長されます。

実務上の留意点

本改正は、「2027年~2031年にかけて段階的に実施する」となっている為、

2027年まで、まだ4年間猶予があると勘違いされていませんか?

この2027年と言うのは「相続が発生した時期」です。

したがって2027年以降に相続が発生した場合には、3年以上遡って「持ち戻し」の対象となります。

尚、経過措置として、相続開始前3年以降の贈与については、贈与金額から

100万円控除した金額だけが加算の対象となります。

少し難しいかもしれないので国税庁のHPを参照して下さい。
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0023006-004.pdf

(具体例)
2024年1月10日に贈与
2027年3月10日に死亡

現行では、贈与は死亡の日から3年2ヶ月前なので「持ち戻し」の対象になりませんが、

改正後では「持ち戻し」となります。

尚、これも勘違いされている方が多いのですが、

この制度は、あくまでも「相続人に対する贈与」です。

したがって、相続人で無い人に対する贈与は「持ち戻し」の対象外です

具体的には、孫や義理の息子娘などです。

編集後記

今回の話はどうでしたか?

生前贈与を検討されている方は、来年以降の贈与からは7年の持ち戻しの対象

となりますので年内に行いましょう。 

★あさぎり通信VOL.168 新NISA

おはようございます。

あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

あっという間に12月ですね。

ゆっくりすることもなく過ぎてしまったような気がします。

時間が過ぎるのはあっという間ですが、昨年より今年、昨日より今日、日々同じ日を過ごすのではなく

少しでも成長しながら過ごせたらいいかなと思います。

さて、今日のテーマは、来年からスタートする新NISAについてです。

新NISA

●新NISAについて

来年から、新NISAがスタートします。現行でもNISAの制度がありましたが、

要件が緩和されて投資の自由度が増えました。

来年以降、新NISAを利用して投資をされる方が更に増えると思います。

インフレ化において、老後資金を考える場合、円での貯蓄だけだと

貨幣価値が下がり、生活が苦しくなる能性があります。

金融資産を見直し、預金、株式、債券などの資産配分を考えることが大切です。

ただし、投資には、リスクがあります。家計でのリスクの許容度を考え、

資産配分を考えることも大切です。

資産配分の見直しの一つとして新NISAを検討されてみてはいかがでしょうか?

又、同じような制度で、イデコや確定拠出年金制度がありますが、

違いについては、次回以降でお伝えします。

新NISAの制度

新NISAは、投資枠が下記の2つに分けられます。
 成長投資枠   → 株式、投資信託など
 つみたて投資枠 → 長期投資向きの投資信託
新制度では、現行の「一般NISA」と「つみたてNISA」の選択制度が廃止されます。
新制度では、株式の投資と積立が1つのNISA口座でできるようになります。

この様に併用が可能となる為投資の自由度が高くなります。

NISA制度での投資の利益が非課税

本来、投資の利益については、20.315%の税金が課税されますが、これが非課税になります。

例えば、株式投資で100万で購入し150万で売却した場合、利益が50万になります。

この場合の税金が10万になります。これが非課税になります。

税制面で大変有利な制度です。

投資上限

非課税の上限があります。
投資上限額1800万円(うち成長投資枠 1200万円)
年間投資額は、360万円
    (成長投資枠240万 つみたて投資枠120万)

※現行制度に比べて、投資枠が大幅に拡大されます。投資限度額は、買付ベースなので運用益部分は含まず判定します。商品を売却した場合には、空いた部分の非課税枠を再度利用できます。

制限

非課税期限が無期限

非課税期間が無制限の為、期限に気にせず投資ができるようになり効率よく投資ができます。
尚、現行制度では、一般NISAは5年、つみたてNISAは20年とういう期限付きでした。

年齢

新NISAは、18歳以上から投資が可能です。 

ロールオーバー

現行のNISA制度で投資されている商品を新NISAに以降はできません。

現行NISAで購入した商品は、非課税期間が過ぎると一般・特定口座に移管されます。

その他注意事項

NISA口座と一般口座・特定口座の損益は通算できません。

例えば、NISA口座での売却損を特定口座の売却益との通算はできません。

編集後記

今回の話はどうでしたか?

来年以降、新NISAで投資される方が増えるのではないでしょうか。

ただし投資はリスクがあります。正しい知識を身につけ投資することが大切です。

投資のポイントは、長期保有、種類・地域の分散、時間の分散(積立)です。 

★あさぎり通信VOL.167 「リビング・ニーズ特約」で受取る場合の留意点

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

急に寒くなりましたが体調の方はいかがでしょうか?

11月なので逆に今まで暑かったのが異常ですかね!

いずれにせよ体調管理には十分気を付けましょう。

さて本日のテーマは、「リビング・ニーズ特約」で保険金を受取る場合の注意点についてです。

聞いた事がない方もいらっしゃるかもしれませんが保険金の特殊な受取方法です。

「リビング・ニーズ特約」で受取る場合の留意点

●概要

まず初めに「リビング・ニーズ特約」とは、被保険者が余命6ヶ月以内と判断された時に、

生存中に死亡保険金を前払いで受取れる特約です。

この場合の税務上の取扱いは、非課税所得になります。

因みに、保険料の負担者が誰であっても非課税となります。

下記、国税庁のHP「リビング・ニーズ特約に基づく生前給付金」も参照して下さい。 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/01/03.htm

残された人生を有意義に過ごす為に使う事が出来ます。

尚、余命宣告期間以上生存しても返還等の必要はありません。

●実務上の留意点

「リビング・ニーズ特約」で受取った保険金を使い切らずに死亡した場合には、

相続税の課税対象となります。

更に、生前に受け取っているので、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人)も利用出来ません。

相続税の非課税枠を利用する為に保険に入るケースもあると思いますが

折角の制度が使えなくなります。

一般的に、弱った体や気力の状態の中、旅行などでお金を使い切るのは難しいと思います。

したがって、「リビング・ニ-ズ特約」の利用は相続税的には損なのでお勧めしません。

逆に、気力等あれば最後の思いで作りに保険金を請求して使うのも良いと思います。

そうすれば精神的に豊かになり寿命が延びるかもしれないし、相続財産も減らす事が出来ます。

尚、保険会社の方は、非常にデリケ-トな問題なので

利用する方が良いか悪いかのアドバイスはしずらいと思います。

後で、損して保険会社のせいにしないようにしましょう。

編集後記

今回の話はどうでしたか?

先日、相続税発生後の相談で「リビング・ニ-ズ特約」を利用されているケースがありました。

結果だけ見ると、生前給付金は、ほとんど手つかずでした。

死亡後に貰っていれば相続税の非課税枠により相続税の基礎控除額以下に収まっていました。

私もその様な状態になったら冷静な判断が出来ないかもしれませんが、

良く検討してから利用しましょう。

★あさぎり通信VOL.166  コロナワクチン等の接種費用の会社負担について

あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

最近、所得税の減税、給付金が話題になっていますが、何が目的なのかよく分からないですね。

経済対策なのか、生活支援なのかどうなんでしょうか。

この程度の対策をしても、何も変わらないような気がします。

経済対策、生活支援の為もっと抜本的な対策を考えて欲しいですね。

例えば、社会保険の配偶者の扶養を判定する場合の収入限度額の見直しなどしてほしいですね。

パート収入が増えても社会保険の扶養になれるようにしてもらえるといいですよね!!!

コロナワクチン等の接種費用の会社負担について

●概要

最近、インフルエンザ、コロナなどが流行しています。

訪問予定が風邪の症状で中止になるケースが増えてきました。

又、弊所スタッフもお子様の病状で休まれる方がいます。

そこで、社員又は同居家族がコロナ等に感染した場合の会社へ影響を鑑みて、

社員だけでなく同居家族の予防接種も推奨しようと考えています。

この場合、会社がワクチン接種を受けるための交通費等を含む費用を

全額会社が負担をした場合に、社員の給与として課税をされるのかが

問題になると思います。

●実務上の考え

給与として課税する必要はないものと考えられます。

会社が負担する接種費用は、業務遂行上必要な費用負担として考えられるからです。社員又は同居家族がコロナ等に感染して、会社を休まれる影響を考えると、会社にとって予防策を講じることは必然な事だと思います。

接種費用の範囲についても、インフルエンザ等の直接の接種費用だけでなく、一般的な交通費の支給額も、給料加算しなくても問題ないでしょう。

編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?これから、冬の時期になりコロナ等の感染者が増える時期になります。

業務遂行上トラブルが起きないように会社が予防策を講じることは大切な事です。

★あさぎり通信VOL.165  インボイスに伴う振込手数料の考え方

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

10月1日からインボイス制度が始まりましたね。

職業柄、領収書に登録番号が記載されているか、ついつい目が行きます。

飲食店の他、コインパ-キングやタクシ-などの領収書には登録番号が記載されているものが予想以上に多いので感心しています。

逆に記載されていない施設等については今後は避ける様になるかもしれませんね。

しかしシステムの変更でソフト屋は儲かったんでしょうね! さて、本日のテーマですがインボイスに伴う「振込手数料」の取扱いです。

インボイスに伴う振込手数料の考え方

●概要

最近、お客さんから問い合わせが多いのですが、インボイス制度の導入に伴う「振込手数料の取扱い」の変更についてです。

具体的には、今までは、支払をする時に請求金額から振込手数料を差し引いて振込んでいた件です。

それが、インボイス制度の導入に伴い、「振込手数料を差引かないで下さい」と取引先から言われていませんか?

逆に、こちらが請求をする場合に、「振込手数料は差引かないで下さい」と相手方に通知していませんか?

何だか分かった様な分からない様な話じゃないですか?

では、この話の仕組みを、こちらが買い手(支払い)側で説明します。

仮に、振込手数料を差引いて支払うと、当然、振込手数料が免除になります。

免除になると言う事は得する訳ですから金額が少額とは言え売上(雑収入)になります。

売上になると言う事は、こちらが売り手側に振込手数料相当額の請求書(インボイス)交付する必要があります。

振込手数料なんかで、いちいち請求書なんか発行していたら事務負担が大変になるでしょ!

だから請求書の発行なんかしなくていいから「振込手数料は引かないで下さいね」という理屈の様です。

逆に、請求書を発行するのなら振込手数料を差し引いても問題にはならないと言う事です。

分かりましたか? でも、何か結局は便乗値上げですよね!

●特例

振込手数料の取扱いについては特例があります。

先程の例で、こちらが買い手側で説明します。

振込手数料を差引いて、売り手側が、差引かれた振込手数料を「売上値引」で処理してくれれば、

買い手側は、請求書(インボイス)の発行は不要となります。

ただし、売り手側からその様な処理はしないと言われれば、

それまでの話なので特例扱いにはなりません。

でもね--インボイス制度自体がそうなんですが結局は力関係なんですよね!

力の弱い方が負けで折れるしかないのが実情だと思います。

今回の件で言えば、買い手側の力関係が強ければ、

振込手数料を差引けないのなら集金に来い」で問題解決です。

そもそも集金に伴う交通費の代わりに振込手数料を差引くと言うのが商慣習だと思います。

 因みに、ガチガチな法解釈では次の様になっています。

商法516条では、債務履行の場所は「債権者の現在の営業所」

民法484(1)では「弁済は債権者の現在の住所」においてしなければならず、

民法485条で「弁済の費用」は債務者が負担すると定められていますので、

振込手数料は、「買い手」が支払うのが原則です。

今回、インボイスの導入に伴う「振込手数料の取扱い」については法的根拠が存在するのも事実です。

編集後記

今回の話はどうでしたか?

「売り手側」「買い手側」の立場によって、上記の法的根拠等や考え方をちゃんと理解し

相手側と交渉して下さい。 特に、「売り手側」だとすれば実質の値上げとなり、

件数も多ければ馬鹿にならないのでよく理解し検討して下さい。 

★あさぎり通信VOL.164  インボイス制度のおさらい

あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

岸田政権の経済対策が最近話題になっていますね。

特に年収の壁が話題になっています。

これは、年収が増えると社会保険料の負担が発生し、社員の手取りが減り更に、会社の負担も増えるということです。

この対策として、企業に助成金を支給することを検討しているみたいです。

社会保険の加入の年収の限度額の壁を増加すれば、このような複雑なことは不要になるのではないかと思います。

制度設計はシンプルにして経済対策をして欲しいですね。 さて、本日のテーマは、インボイス制度です。

インボイス制度のおさらい

●制度の概要

10/1からインボイス制度がスタートしました。

下記では、再度インボス制度について、よくあるケースをまとめました。 経理処理をする際にご参考にしてみてください。

★インボイスの具体例

1.鉄道、バス、船舶の支払いの場合

  取引金額が税込3万円未満の場合

    一定事項を記載した帳簿の保存で可能(インボイス不要)

  取引金額が税込3万円以上の場合

    インボイスが必要

2.飛行機、タクシーの支払いの場合

    インボイスが必要

 公共交通機関でも飛行機は上記1と取扱いが違うのでご注意してください。

3.給料の交通費、日当などの所得税が非課税のもの

   一定事項を記載した帳簿の保存で可能(インボイス不要)

4.高速道路のETCの場合(クレジット払い)

   高速道路の「利用証明書」が必要です。

 又は、クレジットカード会社から受領する「クレジット利用明細書」

 +利用した高速道路会社の1回分「利用証明書」の保存でもOK

8.自動販売機

   インボイスは不要です。

9.事務所、駐車場の家賃

   インボイスが必要です。

   テナントオーナーの方にインボイスを確認されていない方が多いです。早めに確認しましょう。

10.少額特例(小規模事業者事務負担軽減)

   基準期間における売上高1億円以下又は特定期間の課税売上高5千万円以下の

   事業者については、R5/10~6年間は、税込1万円未満の課税仕入れについては

   インボイス不要です。

編集後記

今回の話はどうでしたか?インボイス制度がスタートしました。正しく理解して経理処理をしましょう。

★あさぎり通信VOL.163  少数株主の反乱

少数株主の反乱

● 概 要

ご存知だとは思いますが、株式会社では、多数決により議決権(注)の数で

全ての事が決定されます。

しかし、議決権を過半数超持っていても100%安心とは言えません。

会社存続に係る内容など特別決議の場合には2/3以上の議決権が必要なのです。

以上から、まずは2/3超の議決権を持っていればひと安心と言う事です。

しかし、今回の話には続きがあります。 窮鼠ネコを噛むではないですが

少数株主の権利があり、時には厄介になる場合があります。

(注)株式数としなかったのは、1株式=1議決権ではないからです。

1株に対して議決権を複数にする事が可能です。

● 少数株主の権利

少数株主でも実は多くの権利が認めらています。

沢山あるので詳細な説明は割愛します。

〇 議決権1%または議決権300個

多重代表訴訟提起請求権(会847の3)

株主総会議題提案権(取締役会設置会社)会社法303

議案通知請求権(取締役会設置会社)会305

株主総会の検査役選任請求権(会306)

〇 議決権の3%または発行済株式の3%

業務執行に関する検査役の選任請求権(会358)

会計帳簿閲覧請求権(会433)

役員解任請求権(会854)

清算人解任請求権(会479)

〇 議決権の3%

役員等の責任軽減への異議権(阻止権)会426

株主総会招集請求権(会社法297)

〇 議決権の10%または発行済株式の10%

会社解散の訴え提起権(会833)

〇 議決権の10%

募集株式発行時の株主総会請求権(公開会社)会206の2

募集新株予約権発行時の株主総会請求権(公開会社)会244の2

結構あると思いませんか!!

例えば、上記で黄色で塗った会計帳簿閲覧請求権(会433)」

行使すれば、会社の帳簿を見る事が出来ます。

同族会社では、社長の私的流用が大なり小なりあると思いますが、

程度が大きければ「横領」に認定され、損害賠償請求に発展するかもしれません!

その他にも、権利を行使すれば、会社の調査等は可能になる訳です。

お伝えしたいのは、権利を盾に嫌がらせが可能なのです。

的には株の買取でしょう。 散々、嫌がらせして株価を吊り上げ

株を売って一儲けという図式です。

上場していない株なんて売買も出来ないし、配当すら貰えないのが現状です。

この様な権利を盾に、オーナーに買い取らせれば紙屑が諭吉に代わります。

よく、相続税対策などで、持株会社作ったり色々な方法で株式を分散させる方法が

散見されます。 確かに、相続税の節税になる場合は多いと思いますが、

それでいいのでしょうか?

株式を分散させた結果、相続人等が少数株主の抵抗により、後々、苦労するかもしません!

この様なスキ-ムを推奨する銀行や税理士など沢山いますが目先の事だけに捕らわれず

動くようにして下さい。

これが、今回、私が一番お伝えしたかった事です。

編集後記

今回の話はどうでしたか?

最近は、何でも法律を盾に動く風潮があります。

今回の様な情報もネットで溢れています。 少数株主が気付く前に買い取るなど対策する事をお勧めします。

★あさぎり通信VOL.162  相続開始直前の出金について


あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

広島市の省エネ補助金の第2回の追加募集が8月7日にスタートしてその日に上限に達したみたです。

市町村ごとに補助金が違うので、常にホームページなどでチェックをしておく必要がありますね。

このように今の時代、情報格差が激しいです。

お客様の為に情報を収集するようにしていますが、多情報でなかなか追いつけないのが現状です。

情報に漏れている人は、自らは損していることにすら気付かないです!!

後から知っても遅いですからね 経営者として、常に情報収集する様に心掛けましょう!!!

相続開始直前の出金について

● 制 度 の 概 要

相続税申告の際、被相続人の預貯金について過去の履歴を確認します。

その際に、ATMなどから50万円の出金が複数回あり、それらを合計すると

1,000万円以上の高額になることもあります。

将来、相続開始時に、この分だけ相続財産が少なくなっています。

勿論、これらの出金が被相続人の生活費などで費消されていれば問題ありませんが、

そうでなければ相続財産に計上すべきかどうかが問題になります。

この出金額が相続財産になるか否かで当局と争い(裁判)となり、

令和5年2月 東京地方裁判所で、「不当利得返還請求権の計上漏れ」により、

相続財産に加算するという判決が下り、国が勝訴しました。

この案件では、大前提として被相続人が認知症で自ら引出しができない状況でした。

又、相続人は自らお金を引出しをしたことを認めていませんでした。

しかし、裁判では客観的な事実により相続人が引出しているという判決が下されました。

次に、その引出したお金は、認知症である母親の為に費消した金額も少額で、

残りの大部分の金額は相続人が着服し、母親に対して損害を及ぼしているので、

その相続人に対して不当利得返還請求権を有するという判決内容になっています。

● 実 務 上 の 留 意 点

今回の判決のポイントは相続人が出金額を保有しているかどうかではなく、

相続人が被相続人の通帳から勝手に引出をしている場合には、

不当利得返還請求権により相続財産に加算しないといけないというところです。

税務調査で税務署が相続人が相続財産を隠していることを立証できなくても相続財産の計上漏れを指摘できるという事です。

実務対応のポイント

 その1 被相続人が自らが引出しを行い、被相続人が消費をして現金が残っていない場合には

     相続財産に加算する必要はないです。

 その2 相続人が引出しを行い、被相続人の生活の為に消費している場合にも

     相続財産に加算する必要はないです。

     この場合、被相続人の為、消費していることを立証する為に、

     領収書などを残しておいた方が良いです

 その3 相続人が勝手に引出しを行い、相続人が貯蓄又は消費している場合には、

     相続財産に加算しないといけないです。

     対策としては、勝手に引出しをせず贈与税を正しく申告する必要があります。 

     尚、認知症等で意思能力が無い場合には、贈与は成立しないので

     相続財産に加算しなければなりません。 

 その4 税務署は、金融機関での預金の履歴調査を行います。

     誰が出金したのかはすぐに分かります。

 その5 税理士が、被相続人の通帳ついて相続人に質問をした際に事実を伝えないのは、

     税務上の隠蔽行為になります。

相続税の対策

 この様に、被相続人の通帳の引出しについては、相続開始前数年分の調査が行われます。

 又、通帳の履歴調査は、被相続人だけでなく相続人の通帳も同時に調査すると言われています。

 丸裸なので気を付けましょう!

 尚、対策の必要性は認識していても、事前に行動しなければ後の祭りです。

 相続税対策は、長期に行う事が肝要です。 早めに正しい対策をしましょう。

編集後記

今回の話はどうでしたか?

これぐらいの事はバレないだろうと安易に預貯金の出金をされる場合があると思います。

無駄に税金を支払う必要はないですが、後で、指摘を受けない様に預金の出金は気を付けましょう!

★あさぎり通信VOL.161 社員旅行の税務上の取扱い

おはようございます。

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

今年は台風が異常に多いですね!

原因を調べましたが何だか難しいので割愛しますが、まあ異常気象なんでしょうね!

以前にも書きましたが台風は事前に予測出来る災害なので早目の対策を取りましょう。

弊所では、今月末から社員旅行で台湾に行く予定ですが台風が心配です。

さて、本日のテーマですが「社員旅行」についてです。

社員の福利厚生の為の支出ですが、税務上は豪華な場合等には否認されるので注意が必要です。

社員旅行の税務上の取扱い

●制度の概要

福利厚生とは従業員が得る給与以外の利益です。

税務上、給与以外でも利益を受ければ原則課税されます。

ここで課税されない為のポイントは「平等」「妥当な金額」です。

まず「平等」ですが、一部(特定)の人だけが得しては駄目だと言う事です。

従業員の全員が利益を得ている事が第一条件です。

次に、利益を「平等」に受けているとしても「妥当な金額」でなければ税務上は課税される可能性が高いです。

「妥当な金額」かどうかは、明確な金額基準はなく、「社会通念上公正妥当な金額」など抽象的になっています。

人によって金銭感覚や常識が違うので、この辺りは、統計資料や過去の事例を参考にするしかなさそうです。

因みに、「福利厚生費」になる一般的な支出は次の様なものです。

 〇 忘年会などの社内飲食

 〇 残業の食事代

 〇 健康診断費用

 〇 結婚・出産祝いなどの慶弔見舞金

 〇 社員旅行

尚、税務上問題がある場合には、現物給与として、利益を受けた本人が

「給与(賞与)」として課税されます。

役員の場合には、役員賞与になる為、法人の経費にもなりません。

●社員旅行の税務上の取り扱い

今回のテーマである「社員旅行」が福利厚生費になるか否かの具体的な要件については下記の様になっています。
〇 旅行期間が4泊5日以内

(注)海外の場合には目的地の宿泊日数(飛行機泊は除く)

〇 参加者が全体の50%以上

(注)支店等別に行う場合には、支店等別でカウント

〇 会社負担金額が、社会通念上相当で少額


以上の事が国税庁のHPに公表されています。


NO.2603 従業員レクリエ-ション旅行や研修旅行

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2603.htm


気になるのは明確な数値が示されていない会社負担金額ではないでしょうか?

一般的に過去の裁決事例等から会社負担金額が10万円までなら大丈夫と言うのが通説となっています。

では10万円を超えたら絶対に駄目なのかが気になる所ではないでしょか?

過去の否認されている裁決事例の多くは、会社負担が16万円以上となっています。

また、裁決事例の多くは平成10年代頃で20年以上も前の話です。

20年前と今とでは物価水準が違います。

しかも最近は超円安です。

航空運賃や宿泊料金は、統計資料によると20年前に比べて1.2倍位になっています。

以上から、会社負担金額についてはカチカチに10万円以内でなくてもいいのではないでしょうか。

個人的には15万円位までなら問題ないと思っています。

編集後記

今回の話はどうでしたか?

社員のモチベーションを高める為の「社員旅行」が後で税務上トラブルにならないよう気を付けましょう。

★あさぎり通信VOL.160 社内副業の所得区分


あさぎり会計事務所の税理士の藤田です。

暑い日が続きますね。

異常気象が近年続いています!

会社は、様々なことで緊急事態に遭遇するリスクが近年高まっています。

自然災害、大震災、戦争、テロ攻撃、未知のウィルスなど

最近は、コロナ感染者がまた増えてきています。

いつまた、経済活動がストップするのかわからない状況です。

この様なリスクに対して、対策をしない会社はまだまだ多い気がします。

これからの会社経営にとって、緊急事態が発生したとしても事前に対策を講じ、困らないようにしておくことが大切です。

さて、本日のテーマですがこのような非常事態(コロナ禍)で進んだ社内副業についてです。

社内副業の所得区分

●事例

コロナ禍により、テレワークが進み、又副業をされる方も増えてきました。

副業禁止を廃止する会社も増えてきています。更に社内副業を導入する会社もあります。

例えば、Aさんは、経理部門で働いています。Aさんは、ソフト開発能力がある為、

勤め先の会社のソフト部門と業務委託契約を締結してソフト開発の仕事を受注して対価を得ているようなケースです。

この副業の報酬が給料に該当するかどうか問題になります。

給料に該当する場合には、給料に係る源泉徴収が発生します。

●実務上の留意点

上記の場合、給与所得になるのか、事業所得になるのか判断に迷います。

税務上で事業所得とは、「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、

有償性を有し、反復継続して遂行する意志と社会的地位とが客観的に認められる業務」

また給与所得とは「雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に

服して提供した労務の対価として使用者から受ける給与」となっています。

難しいですが、これから総合的に判断することになります。

社内副業だとしても、会社の資産を利用している場合には、給与所得になるのではないかと思います。

上記の事例で、パソコンなどを自己で購入しているような場合には、事業所得の可能性が高くなります。

尚、事業所得になった場合、給与以外の収入が20万円以下の場合には、

確定申告が不要になります。


事業所得の場合には、売上に必要な支出(事務所、車、パソコン、通信費など)が

経費になります。


以上の様に同じ勤め先からもらう報酬でもその内容によって所得区分がかわります。

編集後記

今回の話はどうでしたか?個人の所得区分は難しいです。詳しくは専門家に相談されることをお勧めします。