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★あさぎり通信vol.22 税務調査で言ってはいけない言葉

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

税務調査の秋ですね-

法人及び個人事業主の人を対象に税務署調査が行われやすい時期です。

税務署の事務年度は、毎年6月で終了し、7月に人事異動があり、少し落ち着いて盆が過ぎ、9月から本格業務開始という流れになっている為、秋から調査が多くなるのです。

そして、年が明けると個人確定申告の期間(2/16~3/15)は調査に着手出来ない取り決めがある為、それ以降の春に調査の時期がやって来ます。

秋に調査が来るか、冬、春に来るかは、決算月で決まっている様です。(詳しくは別の機会で書く予定です)

という事で本来、調査到来前の、8月とか9月に配信すれば良かったのですが、まだまだ年末までは続くので参考にしてください。

前置きが長くなりましたが、本日のテ-マは「税務調査で言ってはいけない言葉」です。

概要

この記事を書く前に、他の税理士等で同じような記事がないか、ネット上検索してみると、2012年9月の「税務弘報」の中に元国税調査官が書いた「調査官との心理的交渉術」という記事がヒットしました。その記事の内容に「調査官に言ってはいけない言葉とは?」として、以下の三つが出ています。

1.そんな何年も前の話おぼえているわけないでしょう!

2.全部顧問税理士と経理担当者にまかせている!

3.勝手に調べてくれ!

何故、言ってはいけないのかは、その理由が掲載されているので興味があればネットで調べてみて下さい。

あくまでも、私の意見ではなく人の意見なので割愛します。

ただ、個人的には、上記の2は私も同感ですが、逆に、上記の1と3は、特に言っても問題ないと思います。1については実際、何年も前の事を覚えてなければその通りに言えばいいし、3の「勝手に調べてくれ」と言っても、調査官は違法調査等になってはいけないので、勝手に調べる事なんて出来ません!

言ってはいけない言葉

私の考える、「これだけは社長言っちゃダメ」という言葉は3つあります。

1.前回の調査では言われなかった!何で前回指摘しなかったの!

 何故言ってはダメかというと、まず税務調査の前提として、通常調査対象期間は3年分実施されます。その3年分を3日程度で調査します。3日程度では、全ての項目を隅々まで見るのは非常に難しいと思います。その結果、前回の調査で指摘されなかった事が、今回指摘されるという事は起こり得ます。

しかも、現在は法律が改正され、通常の調査でも5年分出来る事になっています。

さあ、ここで「前回の調査では言われんかった」と叫ぶと、

調査官から「失礼いたしました!それでは、前回の年度分も含めて5年分の修正をお願いします」

という事になりかねませんよ!!

言いたい気持ちは、私(税理士)も含めて分かりますが絶対言っちゃダメです

2.俺は知らん!全部先生と経理担当者にまかせているから!

 このフレ-ズもつい言いたくなりませんか?

特に、現場、営業に忙しい社長さんは・・・

これを言っちゃうと、調査官は、

「あ-この社長は何も分かってないんだ-」

 とか

「社長が何も知らないんなら従業員が不正な事してるかもしれないな-」

結果

「こりゃ-きっちり見ないといけないな-」と思われ、非常に心証が悪くなります。

また、税務調査ではないですが、銀行にお金を借りる時に、このフレ-ズを言う社長さんがいますが、同じく絶対NGです。

自分の会社の事が分かっていない社長にお金を貸しますか!

 そんな会社、人には、お金を貸さないでしょう!

3.お前ら税金を取るだけ取ってロクな使い方してないじゃないか!

言いたい気持ちは凄く凄く分かりますが、税務署は、適正な申告の指導、徴収が仕事です。

徴収した税金の使い道を決めたりは出来ません。

この言葉も非常に心証が悪くなるでしょうねー

編集後記

税務調査官も人間です。上記の言葉は、言えば気持ちがスッキリするかもしれませんが得する事はないですから絶対に言わない様に気を付けましょう。

また、税務調査関連のネタは他にもあるので、随時、掲載します。

★あさぎり通信vol.21 死亡保険金を受け取った場合の相続税の非課税...

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

今回も相続税関係の話です。

死亡保険金を受け取った場合の相続税の非課税制度ですが、中途半端な理解だと痛い目に合うという内容です。

制度の概要と実際にあった事例で説明します。

本日のテーマ

死亡保険金を受け取った場合の相続税の非課税制度の誤解

 

概要

まず、この死亡保険金の相続税の非課税制度の概要は次の通りです。

被相続人(亡くなった人)の死亡によって取得した生命保険金等で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。

この死亡保険金の受取人が相続人である場合、全ての相続人が受け取った保険金の合計額が次の算式によって計算した非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。

 非課税限度額=500万円×法定相続人の数

保険金の受取人が相続人の場合には、上記計算式の非課税限度額まで非課税という事です。                         

ポイントは受取人が相続人で、逆に、相続人以外の者が貰う場合には非課税になりません。

 では、実際にあった、具体例(失敗例)を反面教師にして下さい!

具体例(失敗例)

<前提条件>

○ 相続人、子1人

○ 被相続人(父)の死亡時の財産2500万円

死亡保険金1,500万円:受取人孫3人が各500万円

○ その他孫3人に毎年100万円づつ贈与していた

基礎控除額は、相続人1人なので3,600万円

以上のようなケ-スで相続税はどうなるでしょうか?

答えは、

総財産=2,500万円(死亡時の財産)

+1,500万円(死亡保険金)

+100万円×3人×3年(相続開始前3年以内の贈与の為、相続財産に加算)

=4,900万円

相続税=(4,900万円-3,600万円)×15%-50万円=145万円

 相談者は、愕然としていました。

 死亡保険金は1人500万円まで、今回は受取人が3人なので1,500万円まで非課税じゃないの!

 贈与財産の加算って何!?

今回のケ-スでは、

死亡保険金は、1人500万円まで非課税になると勘違いしていた。孫3人で貰っているのだから500万円×3人の1,500万円までは非課税、つまり、基礎控除額以下なので税金がかからないと・・・思っていた様ですが・・・

NO!NO!ですよ

相続人が受け取った場合にだけ、非課税限度額があるのです。

孫は相続人じゃないですよね!だから非課税になりません。

ここに、大きな落とし穴、勘違いがあった様です。

更に、悪いことが重なり、孫3人が保険金を受け取った為、孫が、遺贈により財産を取得した事になり、相続開始前3年以内に受けた贈与財産を、相続財産に加算しなければいけなくなりました。

詳しい内容は、VOL.20を参照して下さい。

何とかしてよと言われましたが、何ともなりません。

また、保険契約した時は、相続税の基礎控除額が6,000万円あったので安心していたのかもしれません。

今回のケ-スでは、保険金の受取人を単純に孫から子に変更しておけば良かっただけなのですがね!

 そうすれば、

総財産=2,500万円(死亡時の財産)

+1,500万円-500万円(保険金の非課税)

=3,500万円

となり、基礎控除額以下となり、相続税は0円です。

 ・・・・何とも、後の祭り・・・

編集後記

これまで、何度もお伝えしていますが、税法・法律はチャント理解しなければいけません。

今回の話は、第一に、死亡保険金は1人500万円までが非課税だという、中途半端な理解が敗因です。また、相続税の基礎控除額が大幅に下がった事もあります。

相続税の基礎控除額が下がった現状では、この死亡保険金の非課税制度は、節税対策としては絶対に外せない制度です。

今後、生命保険に加入を検討される方は、受取人には注意して下さい。

既に、生命保険に加入されている方、又、保険会社の方は、この機会に、受取人の確認を行い、今回の様なケ-スになっている場合には受取人の変更をする様にしましょう。

★あさぎり通信vol.20 相続開始前3年以内の贈与の誤解 

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

平成27年度より、相続税の基礎控除額が大幅に下がり、相続税対策として贈与を活用されている方も多いと思います。

相続が発生した場合に3年以内の贈与は無効になる、相続財産に持ち戻さないといけないから早くしないと贈与が間に合わない、有効にならない!

ので

お父さんお願い長生きしてね!の神頼み

というケースがあると思いますが、この3年という数字だけが独り歩きして誤解されている方がいるので気を付けましょうという話です。

 本日のテーマ

 相続開始前3年以内の贈与の誤解

 概 要

まず、この規定の条文は、相続税法第19条に以下の様に書かれています。(カッコ書き等は省略します)

相続又は遺贈により財産を取得した者が当該相続の開始前3年以内に当該相続に係る被相続人から贈与により財産を取得したことがある場合においては、その者については、当該贈与により取得した財産の価額を相続税の課税価格に加算した価額を相続税の課税価格とみなし、第15条から前条までの規定を適用して算出した金額をもって、その納付すべき相続税額とする。

そもそも、この規定は、相続の直前(3年以内)の贈与は、相続税の計算上は、贈与がなかったものとして、その贈与した財産を、相続財産に加算して相続税の計算をするという規定です。

ただし、ポイントは、冒頭の太字の部分です。

相続又遺贈により財産を貰わなかった人は関係ないのです。

加算の対象にならないのです。

具体例で確認してみましょう!

 具 体 例

<前提条件>

○ 相続人、長男・次男の2人

○父の総財産(贈与する前)8,000万円

○ 毎年、長男及び長男の子(孫)に500万円づづ贈与し、4年後に父が死亡し、相続が発生

○ 遺産分割では、次男が残りの財産4,000万円(注)を相続する

(注)8,000万円-500万円×2人×4年=4,000万円

以上のようなケ-スで相続税の計算はどうなるでしょうか?

答えは、4,000万円-4,200万円(基礎控除額)で相続税はかかりません。

長男及び孫は、相続開始前3年以内に贈与で3,000万円(500万円×2人×3年)もらっていますが加算しなくていいんですよ。

何故なら、長男も孫も相続の時には1円も財産を取得してないからです。

しつこい様ですが、3年以内の贈与は、全てが加算の対象になるわけではなく、あくまでも、贈与を受けた人が、相続でも財産を貰った場合です。

 編 集 後 記

今回の話はどうでしたか?3年以内の贈与は何でもかんでも加算の対象になるわけではないので、人ごとに、贈与による移転がいいのか、相続による移転がいいのかよくよく考えて、節税の事も考えながら財産の移転をしましょう。

また、3年以内の贈与でも、加算の対象にならない贈与が以下の様にありますので、効果的に組み合わせて贈与を進めましょう。

<生前贈与加算の対象とならない相続開始前3年以内の贈与>

○ 贈与税の配偶者控除

○ 住宅取得等資金等の非課税

○ 教育資金贈与の非課税

★あさぎり通信vol.19 相続が発生した場合の注意すべき期限

おはようございます。
あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

 

さて、本日のテーマは、

相続が発生した場合の注意すべき期限

の話です。

 概要

相続が発生したら悲しんでばかりは要られません!!ボヤボヤしていて、一定の期限が過ぎると恩恵が受けられなくなったり、罰則を科せられる事があるので気を付けましょう。

注意すべき期限について

1.相続発生後7日以内 

 死亡届の提出市区町村

2.相続発生後3ヶ月以内

 相続の放棄または限定承認家庭裁判所

 借金も相続財産ですよ!!放棄しないと大変な事になります!!尚、限定承認というのは、借金の金額を限度として財産を相続する方法

3.相続発生後4ヶ月以内

 亡くなった人の所得税の申告(準確定申告)税務署

4.相続発生後10ヶ月以内

相続税の申告税務署

5.相続税発生後3年10ヶ月以内 

(1)相続税の取得費加算

 相続した不動産や有価証券を相続発生から3年10ヶ月以内に売却した場合には、売却した不動産や有価証券に対応する相続税分を取得費として加算できる。つまり、相続税分だけ経費としてみてくれるので税金が安くなる制度です。

(2)自社株式を自社に売却した場合の特例

 相続により自社の株式を相続した人が、相続発生から3年10ヶ月以内に発行会社(自分の会社)に売却した場合には、売却した人の所得税・住民税が譲渡所得となり、税金が、売却利益に対して一律約20で済む。

ちなみに、この期間内でなくても自社株式の自社への売却は出来ますが、その時の所得税・住民税は、配当所得(総合課税・最高55%の税率)となり、売却金額にもよりますが、非常に税金の負担が重くなります。

この特例は、相続税の納税資金対策にも有効で、個人は貧乏で、会社は金持ちの場合には是非利用したい特例です。

編集後記

相続税発生後に、上記の様な期限を守らなければ、大損したり或いは税務申告の場合には無申告となり罰則等が発生します。上記の期限は覚えておいて損はありません。期限は守りましょう!!

★あさぎり通信vol.18 借上げ社宅による節税

おはようございます。

税理士の山根です。

本日のテ-マは借上社宅による法人税の節税です。

何だ、借上社宅の話か!

今更何て思わず必ず最後まで読んで下さい。イイ事があります!

本日のテーマ「借上げ社宅による節税」

 概要

会社がマンション(賃貸物件)を借りて、従業員や役員に貸付ける場合に、家賃の一部を会社が負担する事が出来ます。従業員や役員個人の家賃負担を抑える事が出来き、福利厚生として有効です。

借上社宅を利用すれば、会社負担分の家賃相当額を給与から減額する事により、

会社⇒社会保険料の会社負担分の軽減

個人⇒社会保険料、所得税、住民税の軽減・節税

が可能となります。

ただし、税法で定められた金額以上の家賃を個人が負担していない場合には、家賃負担額の全額が給与として課税されます。

(税法で定められた適正家賃の金額)

1.役員の場合

○ 一般社宅・・・・次のいずれか高い方の金額

(1)(家屋の固定資産税課税標準額×12%+敷地の固定資産税課税標準額×6%)×1/12

(2)支払家賃の50%相当

○ 小規模(床面積132㎡以下)住宅

(1)(家屋の固定資産税課税標準額×0.2%+12円×家屋の床面積/3.3+敷地の固定資産税課税標準額×0.22%

2.従業員の場合

下記で計算した金額の50%以上

家屋の固定資産税課税標準額×0.2%+12円×家屋の床面積/3.3+敷地の固定資産税課税標準額×0.22%

(注意点)

賃貸借契約は必ず会社名で行う事

具体的効果

(具体的な家賃の金額)

上記の説明では、何だか良く分からない、家賃が幾らになるのかイメ-ジが出ないと思うので、実際、弊社の社宅の事例を参考にしてみてください。

(物件)築22年マンション2DK、場所:中区光南、家賃:65,000円/月

従業員用の社宅なので上記2により計算します。

3,730,683×0.2%+12円×66.4/3.3+694,465×0.22%=9,230

計算結果は、9,230円/月

従業員の場合、この金額の1/2(4,615円)以上の家賃なら問題となりません。

滅茶滅茶安くないですか!!

(社宅を活用した場合の節税金額)

前提条件:年収500万円(控除は基礎控除のみ)、家賃78万円(年間)

1.社宅無しの場合

 本人:所得税・住民税⇒383,300円

    社会保険料⇒727,000円

 会社:社会保険料⇒727,000円

  合計:1,837,300円

2.社宅有りの場合

○本人からの家賃徴収額5千円/月

○会社の家賃負担額6万円/月(6万5千円-本人徴収額)

○本人の年収428万円(当初年収-会社家賃負担額)

  本人:所得税・住民税⇒291,600円

       社会保険料⇒622,000円

    会社:社会保険料⇒622,000円

   合計:1,535,600円

3.節税効果

個人・会社を含めた効果は年間301,700円

従業員の多い会社だとバカにならない!!

4.ポイント

 社宅家賃で節税するポイントはズバリ、上記のややこしい計算式で計算する事

その為には、固定資産税の明細書が必要となります。

多くの会社は、固定資産税の明細書が無いから、借上社宅を導入していても、 支払家賃の50%で計算していませんか!!

実は、マンションを借りている人でも、市役所等に行けば、固定資産税の明細書を発行してくれます。

本日、一番伝えたかったのはこの事です。

色んな節税本やネットを見ても、社宅家賃の節税の事は出ていますが、固定資産税の明細書を借りている人でも入手出来るという情報を載せている記事は見た事がありません!

他人の物件・借上げだからと諦めていた会社

 直ぐに固定資産税の明細書を入手して借上社宅を導入しましょう!!

編集後記

借上社宅については、給料を貰う人、給料を支給する会社の両方にメリットのある話です。導入においては、退去時精算の事など慎重に考えなければなりませんが、節税、社会保険料の事を考えると効果が非常に大きいスキ-ムです。

★あさぎり通信vol.17 税務の落とし穴~その9

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

本日の内容は、実際にあった話で、会話、コミュニケ-ションは
大切だという話です。

 

本日のテーマ

「相続税がかからなくても安心するな」

~遺産分割方法に潜む影~

●概要

今更ながらですが、相続税は、死亡したら全員に発生する税金では
ないですよね!!

遺産の総額が基礎控除額を超えると発生する税金です。
この基礎控除額が税制改正により減額されましたが、

基礎控除額=3000万円+600万円×法定相続人の数あります。

実際にこんな相談ケ-スがありました。

○ 家族構成:父(死亡⇒相続発生)・母・子1人
○ 父の遺産:自宅3000万円、預金1000万円
○ 母の財産:預金1000万円
最初のヒヤリングで以上の事が分かったので、相続税は基礎控除額
以下なのでの心配はないですね、と回答しました。

更に、お母様の時の2次相続の事を考えて、揉める事もないし、共有
か、息子さんが全部相続したらいいのでは、とアドバイスしました。

税金の心配はないので司法書士さんを紹介しますよ・・と言いつつ
心の中では仕事にならなかった・・・と卑しい事を思いながら・・・

結局、息子さんが全部相続する事で話がつきました。

●落とし穴

その後の雑談で、お母さんから、
「相続の事が落ちついたら自宅を売って息子夫婦の所に引き取って
もらうんですよ-」

「私も住み慣れた地を離れるの不安だけど、出来た嫁なんです」何てね

ちょと待ってちょと待ってお母さん!!!

(落とし穴)

不動産を売却すれば売却益に対して譲渡所得税がかかるんです。
ただし、居住用不動産を売却した場合には3000万円の特別控除があり
ます。
つまり、3000万円までの売却益には税金がかからないんです。

もう、お分かりですよね。

今回のケースは息子さんが自宅を相続し、売却すると、上記の特例が

使えない

 

息子さんは居住していないですからね

 

結果、約600万円の譲渡所得税が発生します。

 

尚、今回は説明上、自宅の評価額=売却益=3000万円としています。

(落とし穴の対処方法)

話は簡単、お母が相続し、その後、売却すればいいだけです。

●編集後記

今回のテーマは、冒頭に書きましたが、会話、コミュニケ-ション
の大切さです。

我々、税理士も色々な事を聞き出して、提案をしなければいけません
が、遺産だけの、相続税だけの相談で終わっていれば、後の譲渡税の
事については提案出来ないし、責任も発生しないと思います。

税務の世界には、このように、先の事までも考えないと、後で大損
する話はたくさんあるので気をつけましょう!!

★あさぎり通信vol.16 税務の落とし穴~その8自社ビルの地代は無償...

あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

今回のテ-マですが、またまた「税務の落とし穴」シリ-ズです。
今までは、税金と他の法律(民法等)との絡みにおいて税金では
得するが、他の法律で思わぬ「落とし穴」がある、という様な例を
書いてきました。
今回は税金と税金の絡みにおける「落とし穴」です。
税金と一言で言っても、所得税、法人税、消費税、相続税、贈与税
など色々な種類のものがあります。

これらの税金が絡む時があり、複合的に考えて処理しなければ一時

的には得したが最終的に大損する事があります。

今回は、所得税・法人税・相続税が絡む内容です。

自社ビル所有の方が、会社から地代を貰っていない場合に、大きな

「落とし穴」があるという話です。

本日のテーマ「自社ビルの地代は無償でいいのか」

  • 内容

(概 要) 

今回の話は以下の形態の方が該当します。
○ 同族で会社を経営されている方
○ 本社を所有している方
○ 本社の名義が建物が会社、敷地が個人

この様な所有形態の場合、通常会社は個人に敷地分の地代を支払います。

しかし、会社の業績が良くない場合には

○ 地代を払うと会社の赤字が増える
○ 会社は累積赤字があるから地代を抑えて利益を出しても法人税
は発生しない

○ 地代を払えば、貰った方の個人は所得となり、所得税を払わな
ければならない
などから、地代の支払いをしていない会社があります。

これでイイのでしょうか??

答えは、です。

所得税・法人税の事だけ考えれば○ですが、

相続税の事を考えると×です。

実は、今回の様なケ-スで地代が無償

     相続が発生した場合

「小規模宅地等の評価減の特例」が利用出来ないのです!!!

(小規模宅地等の評価減とは)

「小規模宅地等の評価減」??
初めて聞かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは相続税
の特例制度(優遇規定)
です。

相続税の計算をする時、通常、土地の評価は路線価によります。
この場合に、その土地の中で自宅として利用しているものや商売等
で事業
の為に利用している土地については、50%か80%土地の評価を 減額してもらえるという規定です。

ただし、この特例を利用する場合には、様々な条件があります。

上記の様に地代が無償だと80%の減額が受けれない!!!

(具体的設例)

では、具体例でどれ位相続税額が違うか見て下さい。
(家族・財産内容)
・相続人は子供2人
・被相続人(亡くなった人)の財産
現預金他1億円、本社敷地1億円(100坪)

(1)本社敷地の地代を会社が払わない場合(無償)の相続税額

○財産評価額=1億円+1億円=2億円
○基礎控除額4,200万円を控除した1億5,800万円に対して
続税額3,340万円

(2)本社敷地の地代を会社が払う場合(有償)の相続税額
○財産評価額=1億円+2千万円=1億2千万円
「小規模宅地等の評価減」により80%減額されます。
その結果、1億円の宅地の評価は、何と2,000万円です。

(注)実際は借地権の減額等により評価は更に下がります。

○基礎控除額4,200万円を控除した7,800万円に対して
○相続税額1,160万円

その差額は何と2,180万円となります。

この差は大きくないですか???

(小規模宅地等の評価減の特例を受けるための条件)

先にも触れましたが、これだけ有利な規定を受けるには以下の条件
を満たして
いなければなりません。
長くなるので割愛しようと思いましたが、誤認されてはいけないと
思い書く事にしました。

○ 被相続人・相続人の親族等が同族会社の株の50%超を保有
○ 敷地の承継者(相続人)が相続税の申告期限まで役員
○ 敷地等を相続税の申告期限まで引き続き同族会社の事業の為に利用
○ 敷地の承継者(相続人)が相続税の申告期限まで保有
○ 会社に継続的に相当の対価(有償)で貸付
以上の条件が1つでも欠けると受けれないので要注意です。

また、この特例には他にも「居住用」の特例等もあります。
何かの機会で説明しようと思います。

  • 対策方法

○ 地代を払う(有償にする)

・ただし、地代の金額はあまり安すぎると無償とみなされる
・最低限、固定資産税の3倍以上にはしましょう
・個人所得を抑えたければ「役員報酬」を下げてその分を地
代にすればいいのじゃないですか!!

○ 建物の名義を会社から個人(敷地所有者)に移す 

    ・建物の名義が被相続人になれば地代が無償でも、上記のそ
     の他の条件を満たせばこの特例を受ける事が出来ます

  • 編集後記 

今回、お伝えしたかったのは、短期的な節税だけを考えると思わぬ
「落とし穴」があるという事です。

時と場合にもよりますがト-タル的な税金を考えて、何が得で、何
が損かを常に税理士と相談して進めましょう。

一時的な節税が出来ても、最終的に他の税金でガッポリ取られれば
何の意味もありませんからね。

★あさぎり通信vol.15 税務の落とし穴~その7

おはようございます。あさぎり会計事務所の税理士の山根です。

さて、今回のテ-マですが、好評の「税務の落とし穴」シリ-ズです。

数ある節税方法の中でもシンプルで非常に効果の高い「養子縁組」の話です。

相続税対策~孫養子縁組に潜む影~

●概要

今更ですが、2015年に、実に50年ぶりとも言われる相続税の

改正(大増税)がありましたが、大きな変化が2つあります。

〇 1番目は、基礎控除額が6割に引き下がった事です

(例)4人家族(夫・妻・子2人)で夫が死んだ場合

(改正前)5000万円+1000万円×3人=8000万円

(改正後)3000万円+600万円×3人=4800万円

 この差は大きいですね!!!

〇 2番目は、相続で取得した不動産を売却した時の税金が、上
がった事です
この2番目に関してはあまり報道等されていないので、納税
資金を不動産の売却で予定されている方は注意が必要
です。
今回は長くなるので詳しい説明は省きますが、「相続税の取得
   費加算」の縮小と覚えておいて下さい。

(養子縁組の効果とは)

相続税の節税対策として「養子縁組」はよく使われるし、我々
もよく提案するのですが、その真意とは・・・
まず、何がイイかというと費用や手間がかからず大きな効果を
もたらすという事です。

効果の高い順に
〇 税率の引き下げ
〇 基礎控除額の増加
〇 生命保険金等の非課税枠の増加

特に、税率の引き下げに関しては、相続財産の多いご家庭では
効果が絶大です。
相続税は累進税率なので、相続財産が多くなればなる程、税率
が上がり、税金が高くなるのですが、養子縁組によりこれを緩和
する事が出来るからです。

  • 内容

さて、誰を養子にするかでは、長男(子)の配偶者か、孫を養
にすケースが多いのではないかと思います。

今回の落とし穴は未成年の孫を養子にした時の注意点です。

(1)落とし穴その1

孫の相続取得分については相続税が2割増しとなる。
⇒一代飛ばすためのペナルティ-でしょう

(2)落とし穴その2

まず前提として、祖父が孫を養子にすると親権は養親(祖父・祖母)に移動します。
相続が発生した場合の遺産分割協議には、原則として相続人全員が参加続する必要があります。 この時、相続人の中に未成年者(孫)がいたら、未成年者の(今回の様なケ-スでは養親)が、法定代理人として遺産分割協議に参加します。

では、今回の様なケ-スで、祖父に相続があった場合に遺産分割協議に参加するのは誰でしょうか??

配偶者(祖母)と子です。

子の中には未成年者(孫養子)がいます。

  祖母は配偶者としての立場(権利)と

  親権者(孫)の立場(権利)の2面性を持って参加します。

でも何か変ですよね!!
この様に両者の利害が相反する遺産分割協議は認められません。

そうなると、孫を代理する特別代理人という人を家庭裁判所に
申立て、更に、遺産分割の内容について許可を受けなければ遺産
分割を行う事が出来ないんです!!
しかも、遺産分割の内容については、孫の法定相続分を確保
れたものでなければ許可が下りないというのが裁判所の一般的な取
扱いになっています。

許可が下りないという事は遺産分割が出来なくなる。
更に、この許可が下りるのも1~2ヶ月以上かかる。

 ○ 相続税の申告期限は10ヶ月以内
⇒上記の様なケ-スでギリギリで遺産分割協議をすると申告
期限に間に合わない
⇒申告期限に分割が間に合わないと配偶者控除の特例等
が使えなくなる

⇒相続税が高くなる

 遺産分割がまとまらない
⇒これが一番ヤバイ、でかい
相続税の節税目的の為に、頭数を増やしただけのつもりが
その孫にも取り分が行ってしまうともめる可能性がある!

今回、(1)の話は有名ですが、本当にお伝えしたかったのは(2)
の話です。

(3)落とし穴1の対処方法 

一代飛ばせて相続が出来るので、ト-タル的な税金等を総合的に勘案して遺産分割等を行う

(4)落とし穴2の対処方法

  孫がすくすく育つのを待つ
⇒未成年の場合に問題となり、成人になれば関係ない

  遺言書を作成する
⇒遺産分割の必要がなくなる

  • 編集後記

今回のテーマも事前に知っていれば対処出来る話ですが、後で分
かるとトラブル必至です!!!

人間、後だしジャンケンには非常に抵抗感がありますからねー

また、弊所では、弁護士、司法書士と一緒に事案に対処する為に、
節税(税務)以外の事にも幅広く対応する事が出来るため、今回の
様な情報発信が可能となっています。

相続問題は、民法等が大きく絡む場合があるので税理士だけの意見
・知識で進めると思わぬ「落とし穴」があるかもしれませんので気
を付けて下さい。

★あさぎり通信vol.14 飲食費の税務判断

おはようございます。税理士の藤田です。
本日のテーマは、「飲食費の税務判断」です。

■概要

法人が支出する飲食費は、主に次の費用に分類されます。

・会議費 ・福利厚生費(一部給与)・一人5,000円以下の接待飲食費

・一般の接待飲食費

何が問題になるかというと、会議費・福利厚生費ならば全額経費となり
ますが、給与・交際費になると経費にならない場合があります。
なので、これらの区分をめぐって税務署とのトラブルになりやすいので
気を付けましょう。

なお、接待飲食費のうち、5,000円以下の接待飲食費が分けてあるのは、
一人5,000円以下であれば、一定の要件で全額経費にできるからです。
■内容

1.会議に伴う飲食費
 通常要する費用と認められるものは、会議費になります。
税法上の基準はありません。会議の参加者、内容によって、会議費に
なるか交際費になるか判断が必要です。
一般に一人3,000円~5,000円の基準があるようですが、一人1万円にな
ったとしても理由があれば、交際費でなく会議費で判断できます。

・会議後の宴会などは、交際費に該当します。
・昼食時にビール1本程度なら会議費に該当する可能性もあります。
(基本、お酒が入るとNG→交際費となります。)

2.福利厚生に伴う飲食費
専ら社員の為に行われる飲食代が該当します。
全社員を対象とした忘年会で通常必要とするものは、福利厚生費にな
ります。ホテルなどで高額であっても問題ありません。

ただし、特定の社員だけの場合には、交際費または現物給与に該当す
ることもあります。役員の場合には、役員賞与となり税務上の経費に
できなくなることもあります。

・役員が親子だけの場合の食事代は、役員賞与となる可能性大です。
・総務課と役員のみの飲食代は、交際費に該当します。
(人数の多い会社などで、複数回にわけて行うのは福利厚生費です。)

3.1人当たり5,000円以下の飲食費
交際費のうち、一人当たり5,000円以下の飲食代は、交際費に該当しま
せん。
ポイントは、社外の人を接待する事ですが、逆に社外の人が一人でも
入っていればOKです。

・一次会、二次会の支出がある場合には、店ごとに判断します。
・一定の事項を記載した書類の保管が必要です。
(相手方の氏名、参加者の人数など)
・社内交際費は、対象外です。
・ゴルフでの飲食代は対象外です。
・カラオケ店でも一人5,000円以下であれば全額経費にできます。

  4.交際費の飲食費
上記以外の飲食費で事業の関係者に接待、慰安等のために支出する費
用です。

税務上の交際費については、限度額があります。中小企業であれば、80
0万円までは、全額経費になります。(時限立法)

・得意先に提供した弁当代、お土産は、交際費に該当しますが5,000円以
下の飲食費には含まれません。

5.その他飲食費
・説明会等で提供する弁当代など
交際費には該当しません。→会議費

・セミナーなどで提供する昼食時の弁当代
社内で一律に提供する弁当代は、交際費に該当しません。→福利厚生費

・来訪者に提供する昼食時の弁当代
昼食時に通常供される弁当代は、交際費に該当しません。→会議費

■編集後記

飲食費が、税務上の経費になるか、交際費になるか、給与になるかは
内容によって変わります。税務上の判断が有利になるように支出しまし
ょう。

なお、今回は、法人についての話なので、個人事業主が支出する交際
費については、税務上、経費にできる交際費の限度額はありません。
その他、会議費、福利厚生費等の考え方は同じです。

★あさぎり通信vol.13 税務の落とし穴~その6

おはようございます。税理士の山根です。

今年ももう半分が過ぎようとしていますね。あっという間の上半期でした。

今回のお話はVol.06(2016年9月27日配信)で配信しましたが、

「相続時精算課税制度」で前回の補足です。

本日のテーマは、

「相続時精算課税制度は利用すべきか?」

です。

■概要

「相続時精算課税制度」は、贈与税の特例ですが、60歳以上の                         父母又は祖父母から20歳以上の子供又は孫が贈与を受けた場合に2,500万円まで非課税(超えた部分は20%の税金)というものです。
この制度の特徴としては、
○1度利用すると、「暦年贈与」に戻れない
○相続が発生した時に、贈与時の金額を相続財産として持ち戻し
相続税の計算を行う

 

■内容

○この制度を1度利用すると、暦年贈与(110万円)が使えない
○前回も触れましたが、遺留分の問題
⇒相続発生時に贈与時の金額で持ち戻す為、財産の価額が上
昇した場合に、相続税の節税にはなるが、遺留分の金額は増
えてしまう
○これも前回、触れましたが、息子が先に死ぬと同じ財産に2
 相続税がかかる
○贈与した財産が相続発生時に、贈与時より大きく価額が下落し
ていた場合に、他の相続人からクレ-ムが出る可能性がある
⇒相続発生時には贈与した財産の価額が下落しているにもか
かわらず、相続税の計算上は贈与の時の高い金額を持ち戻す
為、その結果、相続税額の総額が増えてしまう

要らん事、この制度なんか使わなければ、相続税の総額は安
   くなっていたのに・・・みたいな

○贈与で財産をもらった人が、相続発生時までに全部使って持っ
ていなかったら、他の相続人が相続税を納付しないといけない
⇒相続発生時に贈与財産を持ち戻して相続税を計算し、その
贈与を受けた人はその金額に相当する相続税の納税をしなけ
ればならない
が、実際にはお金を使っていて税金が払えない!!!

相続税には連帯納付義務という制度があり、他の相続人が肩
代わりしないといけなくなる・・・

■編集後記
前提条件として、相続税のかからない方には、今回の話は、無関
係なので利用して頂いて問題ないですが、相続税のかかる方は、
利用すべきではないですね。

とにかく、不確定要素が強すぎる!!!
先の事は分からない!!!

贈与をするなら「暦年贈与」にしましょう。