★あさぎり通信vol.18 借上げ社宅による節税

おはようございます。

税理士の山根です。

本日のテ-マは借上社宅による法人税の節税です。

何だ、借上社宅の話か!

今更何て思わず必ず最後まで読んで下さい。イイ事があります!

本日のテーマ「借上げ社宅による節税」

 概要

会社がマンション(賃貸物件)を借りて、従業員や役員に貸付ける場合に、家賃の一部を会社が負担する事が出来ます。従業員や役員個人の家賃負担を抑える事が出来き、福利厚生として有効です。

借上社宅を利用すれば、会社負担分の家賃相当額を給与から減額する事により、

会社⇒社会保険料の会社負担分の軽減

個人⇒社会保険料、所得税、住民税の軽減・節税

が可能となります。

ただし、税法で定められた金額以上の家賃を個人が負担していない場合には、家賃負担額の全額が給与として課税されます。

(税法で定められた適正家賃の金額)

1.役員の場合

○ 一般社宅・・・・次のいずれか高い方の金額

(1)(家屋の固定資産税課税標準額×12%+敷地の固定資産税課税標準額×6%)×1/12

(2)支払家賃の50%相当

○ 小規模(床面積132㎡以下)住宅

(1)(家屋の固定資産税課税標準額×0.2%+12円×家屋の床面積/3.3+敷地の固定資産税課税標準額×0.22%

2.従業員の場合

下記で計算した金額の50%以上

家屋の固定資産税課税標準額×0.2%+12円×家屋の床面積/3.3+敷地の固定資産税課税標準額×0.22%

(注意点)

賃貸借契約は必ず会社名で行う事

具体的効果

(具体的な家賃の金額)

上記の説明では、何だか良く分からない、家賃が幾らになるのかイメ-ジが出ないと思うので、実際、弊社の社宅の事例を参考にしてみてください。

(物件)築22年マンション2DK、場所:中区光南、家賃:65,000円/月

従業員用の社宅なので上記2により計算します。

3,730,683×0.2%+12円×66.4/3.3+694,465×0.22%=9,230

計算結果は、9,230円/月

従業員の場合、この金額の1/2(4,615円)以上の家賃なら問題となりません。

滅茶滅茶安くないですか!!

(社宅を活用した場合の節税金額)

前提条件:年収500万円(控除は基礎控除のみ)、家賃78万円(年間)

1.社宅無しの場合

 本人:所得税・住民税⇒383,300円

    社会保険料⇒727,000円

 会社:社会保険料⇒727,000円

  合計:1,837,300円

2.社宅有りの場合

○本人からの家賃徴収額5千円/月

○会社の家賃負担額6万円/月(6万5千円-本人徴収額)

○本人の年収428万円(当初年収-会社家賃負担額)

  本人:所得税・住民税⇒291,600円

       社会保険料⇒622,000円

    会社:社会保険料⇒622,000円

   合計:1,535,600円

3.節税効果

個人・会社を含めた効果は年間301,700円

従業員の多い会社だとバカにならない!!

4.ポイント

 社宅家賃で節税するポイントはズバリ、上記のややこしい計算式で計算する事

その為には、固定資産税の明細書が必要となります。

多くの会社は、固定資産税の明細書が無いから、借上社宅を導入していても、 支払家賃の50%で計算していませんか!!

実は、マンションを借りている人でも、市役所等に行けば、固定資産税の明細書を発行してくれます。

本日、一番伝えたかったのはこの事です。

色んな節税本やネットを見ても、社宅家賃の節税の事は出ていますが、固定資産税の明細書を借りている人でも入手出来るという情報を載せている記事は見た事がありません!

他人の物件・借上げだからと諦めていた会社

 直ぐに固定資産税の明細書を入手して借上社宅を導入しましょう!!

編集後記

借上社宅については、給料を貰う人、給料を支給する会社の両方にメリットのある話です。導入においては、退去時精算の事など慎重に考えなければなりませんが、節税、社会保険料の事を考えると効果が非常に大きいスキ-ムです。